黒猫を追いかけて㈠
文字数 260文字
不思議な雰囲気を漂わせる、黒い猫。
その猫が、どこに行くのか知りたくて後を追う。
ちらちらと振り返っては、足どりがどんどん速くなる、その猫。
ますます興味をさそう。
「あっ、右!」
人込みをかき分けながら、猫に合わせて足どりを速める。
いつの間にか、人通りの激しい道に足を踏み入れていた。
前へ、前へと、前に進むたびに行き交う人と肩がぶつかる。
「すみません、前へ通してください……!」
謝りながらも、それでも猫を追う。
まるで、不思議の国のアリスが時計うさぎを追いかけるかのように。