第33話 幻の黄金都市
文字数 4,116文字
アンクイーネは、蟻の兵士達やポロイと一緒に、宴を楽しんでいた。
「ここにいたんだね」
「オテロ、どうしたんだ?」
「ちょっと聞きたいことがあってね。前にコギトの遺跡に住んでいた時のことを教えて欲しいんだ。あの黄金はコギトの遺跡にあった物だけなのかな?」
「わらわもポロイもそれについては分からない。兵士達なら何か知っているかもしれないな」
「私が確かめてまいります」
ポロイは、一般兵士達の集まっている中で、話をしていた。
アンクイーネとポロイ以外の蟻達と話ができなかった。蟻の言葉が理解できなかったのだ。
(そうだ。この街に学校を建てよう。蟻の兵士達に私達と会話ができるようにちゃんと勉強してもらうんだ。私立オセロニア学園と名づけよう)
「オテロ、君の言った通りだった。どうやらあの遺跡には隠し通路があって、一般兵士達はそこから黄金をチマチマと集めていたようなのだ」
「なんと、そんなカラクリがあったとはな。わらわも知らなかった」
(ヤッパリ、もしかしたらと思ったけど、正解だったな)
「アディ、どうかな? もう一度行ってみようよ」
「そうね、試してみる価値があるかもね。行こう、オテロ」
宴が終わってから、イモードラ、ランドタイラント、ムスタバ兄弟と一緒に帰った。元々、私達は一軒家で仲良く過ごしていた。私がいなくなっても、それは変わらなかったようで、居場所を残しておいてくれた。
ゴルディオンかもしれない突然の噂話にワクワク感が止まらなかった。その日の夜は、興奮してあまり寝つけず、寝そべって窓から空をながめた。空には、心を映し出したかのような綺麗な月だった。
次の日、あまり寝つけなかったせいか、眠かった。
(しっかりしなくては、ゴルディオンが待っている)
冒険で使いそうな道具をリュックに詰め込んで、家を出た。
広場に着くとすでにアディが待っていた。
「オテロ、遅いわよ。私は、興奮して全然、寝れなかった」
(そうだろうね)
「ちょっと待ってて。ヒルデブラントから武器をもらってくる」
「早く戻ってこないと置いていくわよ」
「うん」
私はヒルデブラントの店へ走った。
ヒルデブラントは徹夜で武器の改良をしていた。
「おう、オテロか。どうじゃ、こんなもんで」
武器はしっかりと調整も済んで、みがかれていた。
「脱着式のユニットはこれじゃ、今回は時間が無かったから、装填できる矢は三本だけだ。大事に使えよ。では、ワシは寝るからな。起こすなよ」
さすがのヒルデブラントでも徹夜はこたえたのだろう。疲労感が半端なくにじみでていた。そのまま、工房で眠ってしまった。
(お疲れ様でした)
「ありがとう。じゃぁ、行ってくるよ」
起こさないように忍び足で店を出た。
広場には、アディ、レグス、アルンがいた。
「お待たせ。今回はこのメンバーで行くんだね」
「そうよ」
「コギトとアンクイーネ達には、後でお宝を取りに来てもらうからね」
「じゃぁ、出発よ。待ってなさいゴルディオン」
我々は街を出発し、クレーターの遺跡を目指した。
あの遺跡の入り口前までやってきた。
「ついに着たわね。待ってなさい、ゴルディオン」
「でも、蟻の兵士達が来るまで待った方がいいんじゃない? ここにいるメンバーは誰も隠し通路を知らないよね」
「何? オテロ、ここまで来て、臆病風に吹かれたの?」
(そうじゃ無いんだけどな)
「地下十階層まで行って、探せば分かるわよ。蟻でも見つけられたんだからね」
アディは地下に降りて行った。はやる気持ちを抑えられないようだ。
(やれやれ。ゴルディオンは逃げないのにね)
仕方がないので、後に続いた。
地下十階層まで降りてきた。ジャマされることが無かったせいか、早く着いた。
「さぁ、隠し通路を探すわよ」
アディは、壁を叩いていた。
私は床を叩いてみたが、動きそうに無かった。
「どこにあるのよ。全然ないじゃない。何で蟻に見つけられて、私には見つけられないのよ」
アディはガックリと肩を落とした。
「一旦、落ち着こうよ。その内、ポロイ達が追いついて来るよ」
アディの横にすわって、武器の確認をしていた。
「オテロ、武器なんて無くても戦えるじゃない?」
「そうなんだけど、武器を使って戦うことにしたんだ。これなら能力に関係ないからね。それから、ヒルデブラントとの約束もあるから、専用武器を使っていくよ」
改良された武器の性能を確かめてないので、実際に装着してみた。
今回の改良で、右側と左側で形状が違っている。左側に脱着式の金具と爪が真っ直ぐにつけてあった。
(左側は、突きとユニット、右側は、従来と同じ切り裂き型かな?)
「オテロ、それがお前の新しい武器か? 蟻達を待っている間、暇だから相手してやるよ」
レグスが、武器を興味深く見て、試運転の相手を名乗ってくれた。
「オテロ、いつでもいいぞ」
自分の剣をポンポン叩いて待っている。
「では、行くよ」
左の突きを出した。しかし、剣で弾かれ吹っ飛んだ。
剣圧をかわし、負けじと右手で、下から切り裂こうとした。かわされ、間合いをとって、その場を離れた。その後、打ち合うこと十回ほど、行った時だった。私とレグスの間に鞭が飛んできた。私達はそれをかわし、お互いにアディの方を見た。
「あなた達、貴重な遺跡を壊すつもり?」
ハッと我に返り、辺りを見た。地下十階層は傷だらけになっていた。
「チッ、今日のところは引き分けだな。また、相手をしてやるよ」
汗一つ流さず、涼しい顔をしていた。完敗だった。
一旦、地下九階層に戻り、休憩した。元々、宝物庫だった階層だ。今は、がらんとしている。お宝があった時は気がつかなかったが、ヒンヤリしている。汗をかいたせいか、少し風を感じることができた。
(なぜ、こんなところで風を感じるんだろう?)
「アディ、ちょっとこっちに来てよ。風を感じない?」
「私は、感じないよ。風なんか本当に吹いているの? オテロ、その方角にゆっくりと歩いてみてよ」
神経を集中して、わずかな風を追ってみた。髭が揺れているので、間違いはない。
(あった。ここからだ)
壁の隙間から風が吹く。
「アディ、ここからだよ。この辺りを調べてみようよ」
アディは風の吹く壁を調べて、少し動くことを発見した。
力一杯押すと壁の一部が落ちて、奥に空間があるのが見えた。レグスが壁を壊すと通路が目の前に現れた。
「やっと見つけたわよ。どう、オテロ。蟻にできて、私にできないなんてないんだから」
「やったね」
アディの満面の笑みを見ているとなんだか嬉しくなった。
(それ見つけたの私だよね)
と言いたかったが、言えなかった。
(本当に隠し通路であっているのかな?)
はたして、この通路の先にゴルディオンはあるのだろうか? おそるおそる進んでみた。
暗闇を松明で照らしながら、通路を進んだ。
(蟻の兵士達は、ここを通ったのだろうか?)
そんな考えが一瞬、頭をよぎったが、運んだ時に落ちたであろう数枚の金貨を見つけたので、ここが隠し通路だと確信した。それを拾い上げ、先に進んだ。
しばらく歩くと石柱が見えてきた。何かの遺跡だろうか? 大半は土に埋もれている。蟻の兵士達が、通ったのだろう。一ヶ所ぽっかり穴が空いていた。その穴を拡げて、奥へ入ってみた。
「アディ、中には空間があるよ。まだ奥まで行けるみたいだ。どうやら建物のようだね」
話を聞いたアディ達は、さらに穴を拡げて、中に入ってきた。
「本当なの? あぁ、これがゴルディオン」
アディは、人目もはばからず、大泣きをした。思わずもらい泣きをしてしまった。
(よかったね。アディ)
「噂通り、地殻変動で地面に埋もれていたなんて、誰も信じないわよ」
涙を拭いて世紀の発見に興奮していた。辺りには、黄金がキラキラと輝いていた。
(何か、少し変だな?)
キョロキョロと辺りを見た。
違和感を感じたのは石柱・部屋の壁の黄金だ。一見、黄金都市ならではの光景と見過ごしても不思議ではないのだが、その中に手形を中心に黄金が拡がっている箇所が何ヵ所もあった。
ゴルディオンの中には、錬金術師がいたのだろうか? いくら錬金術師でも、手から錬金術を部屋や石柱を対象にできるものなのか? 謎が深まるばかりだ。
(幻の都市とは、そう言うものなのか?)
まだまだ、ここには調べなくてはならないことが多そうだ。
「オテロ、先に行くわよ」
「待ってよ、アディ」
アディ達を追いかけた。
疑問は頭の片隅に置いておこう。
「侵入者発見! 排除スル」
突然、攻撃してきた者がいた。
ここを守るつもりだろうか? 機械仕掛けの兵士達が襲ってきた。
「チッ、仕方ねぇな」
レグスがいち早く、応戦した。
さすがレグスだ。装甲が硬いと見るや、関節部分を切り、攻撃不能としていた。それを見習い、敵を退けた。
それからも、罠が仕掛けてあったり、先に進む度に形の違う機械仕掛けの敵が現れたが、応戦して倒した。
この階の奥まで進んだ時、上へと続く階段が見つかった。
(ここは石や土まで黄金ではないのか?)
不思議な光景だった。黄金都市を想像していたのは、もっと全体が黄金の建物だ。
もう少し、この階を調査したかったが、アディが上の階に行くというので従った。
上の階へと続く階段もやはり変だった。手をついて昇ったのだろうか?
所々に黄金の手形がついていた。
(やはり、ここには手で触る物を黄金に変える錬金術師がいたんだ)
「きゃっ」
先に進んだアディが悲鳴をあげた。
急いで、階段を昇るとそこには黄金の兵士達がアディを攻撃していた。
「アディから離れろ」
怒りに任せて攻撃を繰り出した。
(今、助けるよ。アディ)
「ここにいたんだね」
「オテロ、どうしたんだ?」
「ちょっと聞きたいことがあってね。前にコギトの遺跡に住んでいた時のことを教えて欲しいんだ。あの黄金はコギトの遺跡にあった物だけなのかな?」
「わらわもポロイもそれについては分からない。兵士達なら何か知っているかもしれないな」
「私が確かめてまいります」
ポロイは、一般兵士達の集まっている中で、話をしていた。
アンクイーネとポロイ以外の蟻達と話ができなかった。蟻の言葉が理解できなかったのだ。
(そうだ。この街に学校を建てよう。蟻の兵士達に私達と会話ができるようにちゃんと勉強してもらうんだ。私立オセロニア学園と名づけよう)
「オテロ、君の言った通りだった。どうやらあの遺跡には隠し通路があって、一般兵士達はそこから黄金をチマチマと集めていたようなのだ」
「なんと、そんなカラクリがあったとはな。わらわも知らなかった」
(ヤッパリ、もしかしたらと思ったけど、正解だったな)
「アディ、どうかな? もう一度行ってみようよ」
「そうね、試してみる価値があるかもね。行こう、オテロ」
宴が終わってから、イモードラ、ランドタイラント、ムスタバ兄弟と一緒に帰った。元々、私達は一軒家で仲良く過ごしていた。私がいなくなっても、それは変わらなかったようで、居場所を残しておいてくれた。
ゴルディオンかもしれない突然の噂話にワクワク感が止まらなかった。その日の夜は、興奮してあまり寝つけず、寝そべって窓から空をながめた。空には、心を映し出したかのような綺麗な月だった。
次の日、あまり寝つけなかったせいか、眠かった。
(しっかりしなくては、ゴルディオンが待っている)
冒険で使いそうな道具をリュックに詰め込んで、家を出た。
広場に着くとすでにアディが待っていた。
「オテロ、遅いわよ。私は、興奮して全然、寝れなかった」
(そうだろうね)
「ちょっと待ってて。ヒルデブラントから武器をもらってくる」
「早く戻ってこないと置いていくわよ」
「うん」
私はヒルデブラントの店へ走った。
ヒルデブラントは徹夜で武器の改良をしていた。
「おう、オテロか。どうじゃ、こんなもんで」
武器はしっかりと調整も済んで、みがかれていた。
「脱着式のユニットはこれじゃ、今回は時間が無かったから、装填できる矢は三本だけだ。大事に使えよ。では、ワシは寝るからな。起こすなよ」
さすがのヒルデブラントでも徹夜はこたえたのだろう。疲労感が半端なくにじみでていた。そのまま、工房で眠ってしまった。
(お疲れ様でした)
「ありがとう。じゃぁ、行ってくるよ」
起こさないように忍び足で店を出た。
広場には、アディ、レグス、アルンがいた。
「お待たせ。今回はこのメンバーで行くんだね」
「そうよ」
「コギトとアンクイーネ達には、後でお宝を取りに来てもらうからね」
「じゃぁ、出発よ。待ってなさいゴルディオン」
我々は街を出発し、クレーターの遺跡を目指した。
あの遺跡の入り口前までやってきた。
「ついに着たわね。待ってなさい、ゴルディオン」
「でも、蟻の兵士達が来るまで待った方がいいんじゃない? ここにいるメンバーは誰も隠し通路を知らないよね」
「何? オテロ、ここまで来て、臆病風に吹かれたの?」
(そうじゃ無いんだけどな)
「地下十階層まで行って、探せば分かるわよ。蟻でも見つけられたんだからね」
アディは地下に降りて行った。はやる気持ちを抑えられないようだ。
(やれやれ。ゴルディオンは逃げないのにね)
仕方がないので、後に続いた。
地下十階層まで降りてきた。ジャマされることが無かったせいか、早く着いた。
「さぁ、隠し通路を探すわよ」
アディは、壁を叩いていた。
私は床を叩いてみたが、動きそうに無かった。
「どこにあるのよ。全然ないじゃない。何で蟻に見つけられて、私には見つけられないのよ」
アディはガックリと肩を落とした。
「一旦、落ち着こうよ。その内、ポロイ達が追いついて来るよ」
アディの横にすわって、武器の確認をしていた。
「オテロ、武器なんて無くても戦えるじゃない?」
「そうなんだけど、武器を使って戦うことにしたんだ。これなら能力に関係ないからね。それから、ヒルデブラントとの約束もあるから、専用武器を使っていくよ」
改良された武器の性能を確かめてないので、実際に装着してみた。
今回の改良で、右側と左側で形状が違っている。左側に脱着式の金具と爪が真っ直ぐにつけてあった。
(左側は、突きとユニット、右側は、従来と同じ切り裂き型かな?)
「オテロ、それがお前の新しい武器か? 蟻達を待っている間、暇だから相手してやるよ」
レグスが、武器を興味深く見て、試運転の相手を名乗ってくれた。
「オテロ、いつでもいいぞ」
自分の剣をポンポン叩いて待っている。
「では、行くよ」
左の突きを出した。しかし、剣で弾かれ吹っ飛んだ。
剣圧をかわし、負けじと右手で、下から切り裂こうとした。かわされ、間合いをとって、その場を離れた。その後、打ち合うこと十回ほど、行った時だった。私とレグスの間に鞭が飛んできた。私達はそれをかわし、お互いにアディの方を見た。
「あなた達、貴重な遺跡を壊すつもり?」
ハッと我に返り、辺りを見た。地下十階層は傷だらけになっていた。
「チッ、今日のところは引き分けだな。また、相手をしてやるよ」
汗一つ流さず、涼しい顔をしていた。完敗だった。
一旦、地下九階層に戻り、休憩した。元々、宝物庫だった階層だ。今は、がらんとしている。お宝があった時は気がつかなかったが、ヒンヤリしている。汗をかいたせいか、少し風を感じることができた。
(なぜ、こんなところで風を感じるんだろう?)
「アディ、ちょっとこっちに来てよ。風を感じない?」
「私は、感じないよ。風なんか本当に吹いているの? オテロ、その方角にゆっくりと歩いてみてよ」
神経を集中して、わずかな風を追ってみた。髭が揺れているので、間違いはない。
(あった。ここからだ)
壁の隙間から風が吹く。
「アディ、ここからだよ。この辺りを調べてみようよ」
アディは風の吹く壁を調べて、少し動くことを発見した。
力一杯押すと壁の一部が落ちて、奥に空間があるのが見えた。レグスが壁を壊すと通路が目の前に現れた。
「やっと見つけたわよ。どう、オテロ。蟻にできて、私にできないなんてないんだから」
「やったね」
アディの満面の笑みを見ているとなんだか嬉しくなった。
(それ見つけたの私だよね)
と言いたかったが、言えなかった。
(本当に隠し通路であっているのかな?)
はたして、この通路の先にゴルディオンはあるのだろうか? おそるおそる進んでみた。
暗闇を松明で照らしながら、通路を進んだ。
(蟻の兵士達は、ここを通ったのだろうか?)
そんな考えが一瞬、頭をよぎったが、運んだ時に落ちたであろう数枚の金貨を見つけたので、ここが隠し通路だと確信した。それを拾い上げ、先に進んだ。
しばらく歩くと石柱が見えてきた。何かの遺跡だろうか? 大半は土に埋もれている。蟻の兵士達が、通ったのだろう。一ヶ所ぽっかり穴が空いていた。その穴を拡げて、奥へ入ってみた。
「アディ、中には空間があるよ。まだ奥まで行けるみたいだ。どうやら建物のようだね」
話を聞いたアディ達は、さらに穴を拡げて、中に入ってきた。
「本当なの? あぁ、これがゴルディオン」
アディは、人目もはばからず、大泣きをした。思わずもらい泣きをしてしまった。
(よかったね。アディ)
「噂通り、地殻変動で地面に埋もれていたなんて、誰も信じないわよ」
涙を拭いて世紀の発見に興奮していた。辺りには、黄金がキラキラと輝いていた。
(何か、少し変だな?)
キョロキョロと辺りを見た。
違和感を感じたのは石柱・部屋の壁の黄金だ。一見、黄金都市ならではの光景と見過ごしても不思議ではないのだが、その中に手形を中心に黄金が拡がっている箇所が何ヵ所もあった。
ゴルディオンの中には、錬金術師がいたのだろうか? いくら錬金術師でも、手から錬金術を部屋や石柱を対象にできるものなのか? 謎が深まるばかりだ。
(幻の都市とは、そう言うものなのか?)
まだまだ、ここには調べなくてはならないことが多そうだ。
「オテロ、先に行くわよ」
「待ってよ、アディ」
アディ達を追いかけた。
疑問は頭の片隅に置いておこう。
「侵入者発見! 排除スル」
突然、攻撃してきた者がいた。
ここを守るつもりだろうか? 機械仕掛けの兵士達が襲ってきた。
「チッ、仕方ねぇな」
レグスがいち早く、応戦した。
さすがレグスだ。装甲が硬いと見るや、関節部分を切り、攻撃不能としていた。それを見習い、敵を退けた。
それからも、罠が仕掛けてあったり、先に進む度に形の違う機械仕掛けの敵が現れたが、応戦して倒した。
この階の奥まで進んだ時、上へと続く階段が見つかった。
(ここは石や土まで黄金ではないのか?)
不思議な光景だった。黄金都市を想像していたのは、もっと全体が黄金の建物だ。
もう少し、この階を調査したかったが、アディが上の階に行くというので従った。
上の階へと続く階段もやはり変だった。手をついて昇ったのだろうか?
所々に黄金の手形がついていた。
(やはり、ここには手で触る物を黄金に変える錬金術師がいたんだ)
「きゃっ」
先に進んだアディが悲鳴をあげた。
急いで、階段を昇るとそこには黄金の兵士達がアディを攻撃していた。
「アディから離れろ」
怒りに任せて攻撃を繰り出した。
(今、助けるよ。アディ)