第11話 謎の洞窟
文字数 3,116文字
イモードラ、ランドタイラントと一緒に町の片隅にいた。彼等には、ムスタバ兄弟の容態を話しておいた。何だか寂しそうだった。いつもムスタバ兄弟と一緒だったから、その気持ちは理解できた。少しの間、無言だった。
「アディに伝えてくるから、ここで待っていてよ」
彼等に言って、アディを探しに行った。
町中まで戻り、アディのいそうな場所を探そうと思ったら、なんと広場のベンチに腰をかけていた。
「アディ」
「オテロ。どうだった?」
診療所にムスタバを預けてきたことを話した。
「そう、取りあえずひと安心ね」
ホッとした顔になるアディ。
(ごめんなさい。アディ)
「オテロ、明日から旅に出るから英気を養っておいてね」
そう告げるとアディは町の商店街へ急いで行った。
(戻るか)
イモードラ達にアディから言われたことを話した。
「そう言うことなら焼き芋モイ」
焚き火の準備をして、芋を焼いた。
焼き芋奉行に任せて、私とランドタイラントは焚き火にあたっていた。
「焼けたモイ」
焼き芋を配るイモードラ。
ほおばって食べるランドタイラントを横目にふーふーしながら、ゆっくりと食べた。
(猫舌じゃなければな・・・)
「これで英気を養えたモイ」
満足げなイモードラ。
「そうだ。ムスタバ兄弟に差し入れしてやろう」
イモードラに頼んで、たくさんの焼き芋を作ってもらった。それを持って診療所へ向かった。まだ診療所の明かりが見えたので、窓を叩き、先生を呼んだ。
「あら、オテロじゃない。どうしたの?」
焼き芋の入ったカゴを先生に渡した。
「ムスタバ達と一緒に食べて下さい」
「まー、嬉しいわ。もうそろそろ、麻酔が切れて、起きるはずだから、後で一緒にいただくわね。ありがとう。オテロ」
先生はカゴを机の上に置き、ムスタバ兄弟を診察した。
(用事は終わったからな)
そのまま帰ることにした。
(ムスタバ、元気になるんだよ)
町の片隅に着いたときには、イモードラとランドタイラントは、くっついて寝ていた。
起こさないように彼等の側で眠った。
次の日、ムスタバ兄弟をこの町に置いて、旅をすることにした。一ヶ月ほどの別れとなるが、今度迎えにきたときには、今よりも一段階、上の冒険者となって、ムスタバ兄弟を驚かしてやろう。そして今度は、ムスタバ兄弟を守ってやるんだ。心残りはあるが、町を出発した。
今日もゴルディオン探しの旅。歩き疲れたので、休憩していた。いつも通り、イモードラが芋を焼く。熱々の焼き芋をほおばっていた。
「あちちっ」
アムルガルが焼き芋を落とした。傾斜を焼き芋が転がっていくのが見えた。
(相変わらず、落ち着きのないヤツだな)
「もったい無いから拾ってくるよ」
アムルガルは焼き芋を追いかけて行った。
「オーイ、アディ。ここに洞窟があるぞ」
下から声がした。アディと一緒に、その場所へ行った。
アムルガルの言った通り、そこには洞窟があった。
「ちょっと探検してみないか? いいだろう」
興味津々なアムルガル。アディもワクワクしているようだ。
「いいわよ。ただし、危険だと判断したら、直ぐに戻るからね」
「よっしゃー」
嬉しそうに、はしゃぐアムルガル。
(まったく困ったものだ)
「一旦、上に戻って作戦会議をしましょう」
傾斜を上がって行った。
(洞窟探検か・・・)
作戦会議中。
「この下に洞窟が見つかったから、ちょっと探検してくるわ。後は、この荷車を守ってくれるメンバーね。アルン達、剣士グループとアルフェッカと侍女達、イモードラとランドタイラントそれとクロリスお願いね。三人一組で三交代で見張っててね」
(見張り班の方がよかった)
「何があるか分からないから、少人数でアタックするわよ」
今回のメンバーはアディ、レグス、アムルガル、私の四人。早速、洞窟の探検。
初探検のワクワクした気持ちを抑え、アディ達について行った。松明の灯りを頼りに進んでいると、遺跡のような壊れた石柱があった。それをアディは興味津々に調べていた。さらに、洞窟の奥へ進んで行った。
(はたして、遺跡があるのだろうか?)
アディはそんなことをお構いなしに、どんどんと奥へ進んで行った。一筋の光りが射し込む。
(何だ?)
目の前が明るくなった。なんと遺跡がある。
(素晴らしい)
アディの感は正しかった。
明るくなったのは地殻変動だろうか? 山が削れて、空が見えている。
ちょうどクレーターの中に遺跡があるようだ。元はクレーター都市だったのかもしれない。外敵から身を守るため、ここに街を造ったのだろう。では、なぜ滅んで遺跡となったのか? アディは、この遺跡を調べようとしていた。
「それに触れるな」
奥の方から声がした。
声の方を振り向くと、学者風の帽子をかぶった青年がいた。
「それに触れないでくれ。私の祖先の遺物なんだ。私の名前は、コギト。この遺跡の中にある魔導書を調査しているんだ」
「私の名前はアディ。幻の黄金都市ゴルディオンを探してる冒険者よ」
「何故、ダメなのかな? 我々は魔導書に興味は無いのに・・・」
「君達は、まだ駆け出しの冒険者だろう。証しを見せてみなよ」
コギトはジロジロと見ていた。
「シルバークラス。チーム『シャ ノワール』か・・・そのままじゃないか。まだまだだね。そんなんじゃ、ここを通せないよ」
「じゃぁ、どのクラスなら許可をくれるの?」
「そうだな、プラチナクラスの証しくらいかな?」
意地悪そうに言った。
(あの門番と同じだな)
「プラチナクラスの証しだね」
「困った猫ちゃんだね。爪を出して、にらむのは止めてくれよ。分かったよ、約束するよ」
頭をかきながら、渋々、承諾した。
「それまで他の冒険者に見つからないように封印しておくよ」
ぶつぶつと訳の判らない言葉を使い、魔方陣を描いた。
「これでヨシッと。これより奥には進めないよ。プラチナクラスになったらまたおいで、バイバイ」
それだけを言うと奥へ消えて行った。
「チッ、仕方ねぇな」
いらだつレグス。諦めて帰って行った。
「でもプラチナクラスになったら、先に行けるんだろう。楽しみがまた増えたな。アイツにギャフンと言わせてやろうぜ。オイラがクラスマッチで頑張ってやるよ」
「それじゃ、アルン達が首を長くして待ってるから戻りますか」
アディは通路を戻って行った。
追いかけて、洞窟の入り口を目指した。やがて入り口に近づくにつれて明るくなった。
(やっと、無事に帰ってこれた)
安堵感で一杯。
初めての洞窟探検を怪我なしでクリアできた。結果的に途中で帰ることになったのは予想外だったが、プラチナクラスになったら、またここに来ることにしよう。
(それまで忘れていないといいのだが・・・)
荷車に戻ってみるとアルン達は暇そうにしていた。
「何か収穫があったか?」
アルン達に洞窟内での出来事を話した。
「そうか、そんなことがあったのか? では、またここにくるんだな」
「そうなるかもね。まずは、オテロに頑張ってもらって、プラチナクラスの証しを手にいれなくてはね」
(なぜなんだ?)
アディは何故、自分で皆を率いて、クラスマッチを戦わないのだろうか? 少しの疑問を心に抱えつつ、旅を続けた。この時の私は、アディがストレスで倒れてしまうなんて思ってもいなかったんだ。
「アディに伝えてくるから、ここで待っていてよ」
彼等に言って、アディを探しに行った。
町中まで戻り、アディのいそうな場所を探そうと思ったら、なんと広場のベンチに腰をかけていた。
「アディ」
「オテロ。どうだった?」
診療所にムスタバを預けてきたことを話した。
「そう、取りあえずひと安心ね」
ホッとした顔になるアディ。
(ごめんなさい。アディ)
「オテロ、明日から旅に出るから英気を養っておいてね」
そう告げるとアディは町の商店街へ急いで行った。
(戻るか)
イモードラ達にアディから言われたことを話した。
「そう言うことなら焼き芋モイ」
焚き火の準備をして、芋を焼いた。
焼き芋奉行に任せて、私とランドタイラントは焚き火にあたっていた。
「焼けたモイ」
焼き芋を配るイモードラ。
ほおばって食べるランドタイラントを横目にふーふーしながら、ゆっくりと食べた。
(猫舌じゃなければな・・・)
「これで英気を養えたモイ」
満足げなイモードラ。
「そうだ。ムスタバ兄弟に差し入れしてやろう」
イモードラに頼んで、たくさんの焼き芋を作ってもらった。それを持って診療所へ向かった。まだ診療所の明かりが見えたので、窓を叩き、先生を呼んだ。
「あら、オテロじゃない。どうしたの?」
焼き芋の入ったカゴを先生に渡した。
「ムスタバ達と一緒に食べて下さい」
「まー、嬉しいわ。もうそろそろ、麻酔が切れて、起きるはずだから、後で一緒にいただくわね。ありがとう。オテロ」
先生はカゴを机の上に置き、ムスタバ兄弟を診察した。
(用事は終わったからな)
そのまま帰ることにした。
(ムスタバ、元気になるんだよ)
町の片隅に着いたときには、イモードラとランドタイラントは、くっついて寝ていた。
起こさないように彼等の側で眠った。
次の日、ムスタバ兄弟をこの町に置いて、旅をすることにした。一ヶ月ほどの別れとなるが、今度迎えにきたときには、今よりも一段階、上の冒険者となって、ムスタバ兄弟を驚かしてやろう。そして今度は、ムスタバ兄弟を守ってやるんだ。心残りはあるが、町を出発した。
今日もゴルディオン探しの旅。歩き疲れたので、休憩していた。いつも通り、イモードラが芋を焼く。熱々の焼き芋をほおばっていた。
「あちちっ」
アムルガルが焼き芋を落とした。傾斜を焼き芋が転がっていくのが見えた。
(相変わらず、落ち着きのないヤツだな)
「もったい無いから拾ってくるよ」
アムルガルは焼き芋を追いかけて行った。
「オーイ、アディ。ここに洞窟があるぞ」
下から声がした。アディと一緒に、その場所へ行った。
アムルガルの言った通り、そこには洞窟があった。
「ちょっと探検してみないか? いいだろう」
興味津々なアムルガル。アディもワクワクしているようだ。
「いいわよ。ただし、危険だと判断したら、直ぐに戻るからね」
「よっしゃー」
嬉しそうに、はしゃぐアムルガル。
(まったく困ったものだ)
「一旦、上に戻って作戦会議をしましょう」
傾斜を上がって行った。
(洞窟探検か・・・)
作戦会議中。
「この下に洞窟が見つかったから、ちょっと探検してくるわ。後は、この荷車を守ってくれるメンバーね。アルン達、剣士グループとアルフェッカと侍女達、イモードラとランドタイラントそれとクロリスお願いね。三人一組で三交代で見張っててね」
(見張り班の方がよかった)
「何があるか分からないから、少人数でアタックするわよ」
今回のメンバーはアディ、レグス、アムルガル、私の四人。早速、洞窟の探検。
初探検のワクワクした気持ちを抑え、アディ達について行った。松明の灯りを頼りに進んでいると、遺跡のような壊れた石柱があった。それをアディは興味津々に調べていた。さらに、洞窟の奥へ進んで行った。
(はたして、遺跡があるのだろうか?)
アディはそんなことをお構いなしに、どんどんと奥へ進んで行った。一筋の光りが射し込む。
(何だ?)
目の前が明るくなった。なんと遺跡がある。
(素晴らしい)
アディの感は正しかった。
明るくなったのは地殻変動だろうか? 山が削れて、空が見えている。
ちょうどクレーターの中に遺跡があるようだ。元はクレーター都市だったのかもしれない。外敵から身を守るため、ここに街を造ったのだろう。では、なぜ滅んで遺跡となったのか? アディは、この遺跡を調べようとしていた。
「それに触れるな」
奥の方から声がした。
声の方を振り向くと、学者風の帽子をかぶった青年がいた。
「それに触れないでくれ。私の祖先の遺物なんだ。私の名前は、コギト。この遺跡の中にある魔導書を調査しているんだ」
「私の名前はアディ。幻の黄金都市ゴルディオンを探してる冒険者よ」
「何故、ダメなのかな? 我々は魔導書に興味は無いのに・・・」
「君達は、まだ駆け出しの冒険者だろう。証しを見せてみなよ」
コギトはジロジロと見ていた。
「シルバークラス。チーム『シャ ノワール』か・・・そのままじゃないか。まだまだだね。そんなんじゃ、ここを通せないよ」
「じゃぁ、どのクラスなら許可をくれるの?」
「そうだな、プラチナクラスの証しくらいかな?」
意地悪そうに言った。
(あの門番と同じだな)
「プラチナクラスの証しだね」
「困った猫ちゃんだね。爪を出して、にらむのは止めてくれよ。分かったよ、約束するよ」
頭をかきながら、渋々、承諾した。
「それまで他の冒険者に見つからないように封印しておくよ」
ぶつぶつと訳の判らない言葉を使い、魔方陣を描いた。
「これでヨシッと。これより奥には進めないよ。プラチナクラスになったらまたおいで、バイバイ」
それだけを言うと奥へ消えて行った。
「チッ、仕方ねぇな」
いらだつレグス。諦めて帰って行った。
「でもプラチナクラスになったら、先に行けるんだろう。楽しみがまた増えたな。アイツにギャフンと言わせてやろうぜ。オイラがクラスマッチで頑張ってやるよ」
「それじゃ、アルン達が首を長くして待ってるから戻りますか」
アディは通路を戻って行った。
追いかけて、洞窟の入り口を目指した。やがて入り口に近づくにつれて明るくなった。
(やっと、無事に帰ってこれた)
安堵感で一杯。
初めての洞窟探検を怪我なしでクリアできた。結果的に途中で帰ることになったのは予想外だったが、プラチナクラスになったら、またここに来ることにしよう。
(それまで忘れていないといいのだが・・・)
荷車に戻ってみるとアルン達は暇そうにしていた。
「何か収穫があったか?」
アルン達に洞窟内での出来事を話した。
「そうか、そんなことがあったのか? では、またここにくるんだな」
「そうなるかもね。まずは、オテロに頑張ってもらって、プラチナクラスの証しを手にいれなくてはね」
(なぜなんだ?)
アディは何故、自分で皆を率いて、クラスマッチを戦わないのだろうか? 少しの疑問を心に抱えつつ、旅を続けた。この時の私は、アディがストレスで倒れてしまうなんて思ってもいなかったんだ。