(二)-3

文字数 215文字

 小内海は、松橋係長の声の大きさにもデスクを叩く音にも反応を示さず、耳の穴に小指を突っ込んでぐりぐりとほじりながら言った。
「さっき言っただろう、駐車違反とスピード違反だ」
「ある県議会議員への不正献金と市内の一般市民への脅迫の容疑だ!」
 木葉の言葉の直後に松橋係長が木葉の二倍の声で答えた。そう、逮捕した直接の容疑は道路交通法違反だが、狙いは松橋係長がいう容疑の方だった。
「お前が指示したんだろう」
「証拠はあるのか、証拠は」

(続く)
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