第5話 Police officer(1)

文字数 482文字

 感染者のことをデッドマンと呼ぶようになったのは、内閣総理大臣である三島慎一郎が会見でそう口にしたのがはじまりだった。

 このデッドマンという言葉は、死刑囚である明智欣也の研究論文が元ネタであり、明智欣也は感染者のことをデッドマンと書き記していた。

 ウイルスの感染拡大とともに、デッドマンによる被害も拡大していっている。

 すでにデッドマンに対する警察は無力化しており、国は自衛隊によるデッドマン一掃作戦を立てているといった噂もネットでは流れているが、その噂の真偽は不明なままだった。


 
 デッドマンを殺したら、それは殺人罪で逮捕するべきなのか。
 永遠に終わることのないであろう問答が会議室では続けられていた。

 そもそもデッドマン化した人間が、元に戻れるかどうかはわかってはいない。
 どこの国でも特効薬の開発はされておらず、研究を行っているという話も聞かない。
 いまはそれどころではないのだ。
 まずは自分の身を守る。それだけで精一杯だった。

「まだ、会議終わんないんすか」
 机の上にだらしなく足を乗せた姿勢で、海藤(かいどう)ミキがいう。

 これが感染拡大前の状況であれば、海藤の態度を
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