あとがき (優良消費者となった皆様へ)

文字数 1,229文字

 二十世紀の学校の社会科では、日本は加工貿易で利益を出していると習いました。資源が無い日本は、資源を輸入して加工。工業製品を作り、輸出して利益を出している。今だってそうだと思っている人が多くいると思いますが、二十一世紀になると加工貿易による利益は、ほぼありません。加工しているのは中国です。
 じゃあ、日本はどうやって利益をだしているの?と思う人がいればと思いますが、それすら思いついてない状況になってます。なにしろ真実を隠してますからね。真実は、日本は各国に貸し付けた円によって利息で儲けています。先進国は後進国に開発費を寄付しますが、日本は貸し付けてます。税金の使い道はそれです。貸し付けた金から生まれた金を産業に補助としてばらまいてます。日本というシステムが生きているように見せかけているのです。つまり日本は金貸しと国内消費の国になっているのです。ものづくり日本なんて過去の話です。その証拠に日本の大金持ちは、みんな働いてません。贅沢を消費をしているだけです。大金持ちのユーチューバーがまさにそれです。彼らこそ優良消費者です。楽しそうなフリしてる空しい消費者こそが、汗水たらす生産者の上にいます。
 働いている人たちの利益は日本という国の不労所得から賄われています。これは二十一世紀からそうなりました。お金はあるのに、働いている人に、生産者にはお金が回ってこずに、贅沢な消費者にお金がどんどん回っています。はっきりいってこれまでの勤勉を良しとする価値観からすると異常です。今は生産が消費を大幅に上回っている恐慌状態なので、過剰な生産をいかに消費するかが勝負になってます。今やってるGOTOキャンペーンとかもそうでしょ?国が国際間の金利で儲けた金を、働いている仕組みに組み込まれた生産者っぽい人に配っているのです。働いてお金を得るというシステムを壊さないためです。これは見せかけです。見せかけでも生産と消費の仕組みを保たないと、みんなが消費者になって、唯一残されたサービス(従僕)という生産さえ途切れてしまったら、搾取される犠牲になる人がいなくなります。犠牲者によって消費者は成り立っています。日本は「優良消費者の孤独」にすでに陥ってます。2012年に書かれた嫌な予感が、2020年にはもっとひどい形で出来上がっています。
 じゃあ、無駄な生産者でいる大勢はどうすればいいのか?どうしようもないんです。一部の富豪消費者が牛耳っているので、お金は回ってきません。真実を知って、無気力になり、せいぜい、優良消費者となって、過剰に生産されたものをテレビやSNSに踊らされて、ぎりぎりの生活で消費するしかないんです。とても悲しいけど、それが発展の行きついた先です。慰めになるかわかりませんが、この状況は日本だけじゃないですよ。先進国と言われていたアメリカもヨーロッパも似たような状況です。
 我々の出来ることは食べたくもないものを頼んで、一口食べて、捨てることだけです。
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