空白のページ
文字数 1,048文字
「いやいや」と、言い返したのはもちろん私だ。「彼の名前は
「でも、
と、横から援護射撃をしてきたのは
だから当然、援護射撃と言っても悠吾が味方をしたのはルシアンの方で、双方から攻め込まれることになった私は半ば敗戦を自覚しながらも最後の抵抗を試みたというわけだ。
「そもそも私に、何をやれって?」
言いつつも、
バジリオに言わせれば「望んで、望まぬ形になったことはねえからよ」なルシアン(もちろん「王になるのは望んでなかった」と、本人の反発必至ではある)の強引さは折り紙付きだ。そんなわけで、
「ここに来る前に
から始まった一連のカクカクシカジカについて語るのは長くなるのと重複になりそうなので割愛するとしても、要するに、ルシアンの要望を受け入れた結果がこれなのだ。
賢明な読者諸氏はもうお判りであろう!
ここは『不思議の森の願い池』の跡地。
かつては物語が綴られ、今では空白になってしまったページを埋め直す作業をしている、私が。
「綴るのは得意だもんね?」
と、悠吾が台湾カステラを食べながら笑った。……って、待て!
「そのカステラ、どこで見つけてきた?」
「へ? 冷蔵庫に入ってたよ?」
「……奥の方に隠してあった、はずなのだが?」
「甘いなケイさん。甘いのはカステラだけで充分なのに」
にやにやと笑う悠吾を見ながら、私はむっと口を引き結んだ。だがすぐに思い直した。
「そうだな、記念すべき1回目は君でいこうか」
言うと悠吾が目を丸くする。小さく「げ!」とも言ったようだ。ざまあみろ。
「だから君はこのまま居残りだぞ」
私はしたり顔で悠吾にトドメを刺した。悠吾は降参したようにバンザイをした。
さて、ここから先は肝心かなめの