文字数 412文字

「南極大陸で繁殖するペンギンで、高さが70センチくらい。ペンギンの中では、中くらいの大きさ……だって」
「卵や繁殖のことは? 何か書いてある?」
「えとね……」

 娘の愛香がタブレットをスワイプする。膝の上にはフワフワのタオルで包んだ卵が二つ。

「長いとこが7センチくらいで、35日くらいで孵るんだって。あれー? フワフワで温めた方がいいのかと思ったら、アデリーさんの巣って、小石の山なんだって、ママ」
「あらー。でも、小石の上に乗っけて温めたら、卵割れちゃうわよ。人間には羽毛がないから、タオルでいいんじゃないかな?」
「そっかー」

 そもそも、アレは、ペンギンだったのか? 我が家の庭に卵を産み落としていったモノは、ペンギンのような姿をしていたが、ここは南極ではない。どこからか逃げてきたペンギンなのかもしれないが、この小さな島には水族館も動物園もない。誰かのペットかもしれないけれど、そんな話、聞いたことがない。

 でも、温めなきゃ。
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