(二)-12

文字数 249文字

 ただ、肝心の翔太の姿が見えなかった。原宿に行ったときに、どのような役で出るのかと聞いたが、「それは観てのお楽しみ」とのことだった。ただ、裏方ではないとも言っていた。それなので確かに舞台の上にいたはずなのだが……。一体どこにいたのだろうか。拓弥にはさっぱりわからなかった。
 拓弥は建物を出ながら不安になった。原宿での翔太の言動は「これが最後」という意味だったのではないか。実は翔太なりの別れの挨拶だったのか。つまり、彼は拓弥に別れ話をしていたのではないか。拓弥の脳内ではそう思い至っていた。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み