英霊とヨハネ福音書

作者 naoto-k

[歴史]

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 ヨハネ福音書の中に「初めに言(ことば)があった」という聖句がある。同じ言葉でも、英霊という文字が中国・韓国・日本の国民の間で長い間、大きな問題になっている。同じ教会で礼拝を守っている方の中に韓国から留学に来ているユンハさんという若い女性がいる。ユンハさんから礼拝後に英霊について知りたいとメールが来ていた。私が、英霊の漢字の語源をコンピューターで分析していることを教会員の婦人から聞いて知っていたからだ。翌日の礼拝後、私は近くの喫茶店を兼ねたバースデーという名のパン屋さんの窓側のイスに座り、コーヒーを飲みながら英霊について説明した。日本の英霊が、日本語の言葉として文献に出てくるのは幕末から明治維新期にかけてだ。
古事記、日本書紀、続日本紀、万葉集などの古代から近代までの文献にはまったく出てこない。古代から近代にかけて本の中に出てくるのは神霊という言葉だ。つまり、現在、日本人が使っているのはかつての神霊だ。
なぜ、英霊という言葉が幕末明治期に使われたか。ここに日本人と韓国人の英霊という文字に対する誤解の原因がある。英霊という言葉は、元々中国の古代から使われていた漢字で、中国の三国時代に戦争で亡くなった中国民族の戦死者のために孔子が使った漢字が記録に残っている。近代になり韓国では漢字が使われなくなり、ハングル文字が主流となった。日本の英霊という言葉は、孔子の英霊に由来するが、そのことの理解があれば、日本の英霊と韓国人が考える英霊は、似て非なるものだということがわかると思うのだが、日本人の中でも、最近、ある有名な方が「古代から日本の国を守った英霊」という言葉を使っていたがそれはない。そもそも日本には古代から英霊という言葉は存在しない。古代から日本の国を守った英霊ではなく神霊だ。このように日本人自身が、英霊の語源がわかっていない。中国では文化大革命によって漢字の辞書が失われ、韓国でもハングル文字が主流となり、漢字の語源を知らない人が増えている。英霊の語源を知らない人が増えて、人々の感情が優先しややこしくなっている面がある。私は漢字のデータベースで調べた英霊の語源をユンハさんにコーヒーを飲みながら話した。



登場人物

私・イチロー(大学4年生)

韓国人留学生・ユンハ


イ・ユンハ 韓国からの仙台の大学に留学している女性

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小説情報

英霊とヨハネ福音書

naoto-k

執筆状況
連載中
エピソード
6話
種類
一般小説
ジャンル
歴史
タグ
聖書ラノベ新人賞2
総文字数
16,123文字
公開日
2019年01月08日 11:41
最終更新日
2019年01月08日 14:12
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