第24話

文字数 2,062文字

 草太さんの晩餐会、期待しかない!


 晩餐会の開催前から、美味しい匂いがリビングに充満していて、みんな幸せそうな顔をしている。

 カレンはいち早く晩餐会が催されたようで。
 お皿に顔を埋めながら、ものすごい勢いで魚を食べていた。

「ニャーニャー言ってきて要求がすごいんだよ。あと、僕を見る目の圧も。カレンが邪魔して食事の用意できないから先にあげちゃった。みなさん、お待たせしました。好きなの食べてくださいね」と草太さん。

 晩餐会、開会!!
 みんな、いそいそとお料理の前へ。

 匂いでも食欲を刺激されていたが、見た目も素晴らしく、鯛とヒラメは昆布〆で、大皿にきれいに盛られていた。

 「これは、お茶漬けにしても美味しいよ」と草太さんに言われたが、いかめし風のおこわもあり。

 フジやんが「お腹いっぱいになっちゃうからさ、最後に食べた方が良いんだろうけど・・・。お米食べたくなっちゃうよねー」とお茶漬けとおこわを食べていた。

 あたしも同じく、お茶漬けとおこわを食べた。


 美味い!美味すぎる!!
 日本人に産まれて、良かったぁ




 フジやんが「あたし、二杯目のお茶漬けにいくか悩んでいます。あっ!ごま油のいい匂いしてきたー」と忙しそう。

 匂いの方を見ると、草太さんがヒラメとキスの天ぷらを揚げはじめていた。

「ホテルブュッフェのライブキッチンみたいじゃん!」と揚げたて天ぷらを食べながらフジやんが感動している。

 また、大葉たっぷりアジの梅ソース焼きを食べ、「お母さんに食べさせたい!」とレシピを聞いていた。


 あたしは、人生初のあら汁を。



 うぉーーーー!
 出汁の旨みが凄すぎる!!




 あら汁を飲んでびっくりしているあたしを見て、フジやんも飲んだところ、「出汁の旨みが凄すぎる・・・」とつぶやいていた。




 草太さんのおもてなし、恐るべし!




 草太さんの料理以外に、向井さんから副菜の差し入れが。
 白和え、レンコンのキンピラ、ナスの煮浸し、煮玉子等など定番の副菜たち。
 おふくろの味って感じで、どれも美味しいー!
 エンドレスで食べられる!!


 そして、大竹さんのポテトサラダ。
 これは、息子の康夫さんからのリクエスト。

 酸味と甘味が絶妙なバランス!
 ジャガイモがゴロゴロ入ってて、ボリュームたっぷりー!!


 おじいちゃんと康夫さんは、このポテトサラダをおつまみに、お酒も飲んで楽しそうに話している。
 実は康夫さんが釣ったのは鯛だけで、他のは友達からもらったらしい。


 フジやんとT子は、草太さんにカフェのことを話していた。

「飲み物を、もっと可愛くして映えるようにして出したほうが良いのでは?」と言うフジやんとT子に対して、草太さんは「これ以上、お店が混んだら大変!」と言うも、二人の意見は変わらず。
 バイトを雇えば?とか、もっと効率よく回せないのか?等など、意見をぶつけまくっている。


 そして、向井さんと大竹さんと椎名は、〆のお茶漬けを食べつつ、ポイ活のお得情報を交換。
 今月の獲得ポイントも発表し合っている。
 やはり、椎名の獲得ポイント数が多いようだが、おじいちゃんも、ポイントをかなり稼いでいるらしい。




 みんな楽しそう
 一人でいるのが好きなあたしでも、なぜか落ち着くのよねー
 シェアハウスの間取りがいいのかなー?




 シェアハウスのインターフォンが鳴って、向井さんがモニターを見に行った。
「かなちゃんのお父さんだわ。迎えに来たのかしら?」と向井さんが玄関に向かっていった。



 なんで?
 帰りが遅いから迎えに来たのか?
 



「夜分にすみません。・・・・・先輩にちょっと・・・」とお父さんがリビングにきた。

 そして、あたしを見て気不味そうに、「かな、まだ帰ってなかったのか?」と言った。




 あたしを迎えに来たわけではないのね・・・




 康夫さんがお父さんの方に行くと、お父さんが「ちょっと・・・。話、聞いてもらいたくて」と言った。

 康夫さんは、「なんだよ、俺にだけか?かなちゃんだって気になるよな?なんか、深刻そうな顔してるしよー。よし!一緒聞こう、な?」と言った。

 お父さんは露骨に嫌な顔をしたが、康夫さんが「家族に隠し事はするな!大切な家族だろ。でも、 秘密にしたいなら、絶対にバレないようにしろよ!ちゃんと気を使え。大切な家族だろうが!」と、ちょっと酔っ払っている様子。



 お父さんの話の内容は、薄々わかっている
 離婚の話だろう
 あたしが高校に入ったら、離婚なのかな・・・




「かな、あたし帰るね」とフジやん言いにきてくれた。

「フジやん、一人じゃ危ないから・・・」とあたしが言うと、椎名が「俺が送るから」と言ってくれた。

「フジやん、行くぞ」と椎名。

 するとフジやんが、「フジやんって呼ばないで」と静かにキレ気味で言った。

「え?なんで?」と椎名。

「なんでも。絶対に呼ばないで。かなしか呼んじゃいけないの!」と怒っている。

「意味がわからない。行くぞフジやん」と先に行く椎名を追いながら、フジやんが椎名を睨んでいた。



 睨んだ顔も可愛いのー

 それじゃ、あたしは、お父さんの話を聞くとするか・・・
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