第13話格闘技者とAV女優 (私見)

文字数 704文字

徒然草第八十段「人ごとに、我が身にうとき事」の中に、
「(武は)人倫に遠く、禽獣に近きふるまひ、その家にあらずは、好みて益なきことなり。」

意訳すれば、
「そもそも、武芸の道などは、人倫とはほど遠く、獣じみたふるまいであって、武士の家に生まれた者でなければ、好んだとしても無益なことなのである」

になる。

確かに、プロを含めて格闘技は。そもそも人倫(人間としての倫理)とは、ほど遠い部分があると思う。
(自らや近くにいる人の急迫した生命の危険等から自衛する場合を除く)

客観的に言えば、格闘技は、相手を殴り、蹴り、投げ、関節を極め、首などの急所を絞め、相手に痛み、苦しみを与えあう競技である。
そして、相手の苦しみ、痛みが自分の勝利、報酬(プロの場合)になる。

いかに事前に双方の承諾があったとしても、他人を痛めつけ、生きる糧にする。
吉田兼好氏が指摘した「人倫に遠く、禽獣に近きふるまひ」そのものなのである。
そして、その勝負を楽しむ人々も、憎き相手の痛みを喜ぶのだから、禽獣程度の人間なのだと、兼好氏は言うかもしれない。


さて、表題のAV女優に戻る。
(騙されて、自分の意思ではなくAV出演となった人は除く)

いわゆるAV女優は、他人に危害を与えたのだろうか。
他人の生命、財産、名誉、思想に、何かの影響を与えたのだろうか。

確かに裸になって「行為」を撮影させる。
(出演者が「納得済み」の撮影を判断基準としている)
しかし、それが、他人に危害も痛みも与えてはいない、と私は思う。

それなのにAV女優を不当に貶める論調や「色眼鏡」で見る人が多い。
そもそも、他人を痛めていない人に対して、そんな態度を取る人のほうが、私は恥ずかしいと思うのだが。
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