第31話老舗百貨店金茶碗のこと

文字数 766文字

全国ニュースになった日本橋の老舗百貨店の金茶碗事件。

1040万円の価格を付けて展示しながら、あっさり盗難に遭う不始末である。
白昼堂々、わずか数秒の早業で、店員が盗難に気づき110番したのは約35分後だったという。
日本を代表する老舗百貨店であり、実に情けない限りである。

犯人は、11時40分ごろに茶碗を盗み、同日午後1時半ごろに江東区の店でマイナンバーカードを示して180万円で売却していた。(すぐに逮捕されることは、わかり過ぎるほどと思うし、何のために危険を起こして盗んだのか、マヌケと批判されても仕方がない粗忽な犯罪である)

180万円で買い取った店も、なかなか、したたかである。
(はるかに相場を下回る価格なので、金に困っている犯人の足元を見たようだ)
同日中に台東区の店への480万円で転売手続きを済ませている。
税抜きで考えれば、300万の利益が労せずして、発生である。


ただ、そんなにうまく話は進まない。
15日に転売先に警視庁が来てが押収されてしまった。

古物営業法においては、古物商は盗品の疑いがある物が持ち込まれた場合、直ちに警察官に申告する義務があると定められている。盗品と知りながら買い取った場合、盗品等有償譲り受け罪に問われ、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される恐れがある。

 今回の事件では、警察から古物商に対し、茶わんが盗まれたとの情報提供はなかったが、事件当日の午後2時以降、新聞やテレビが窃盗事件を速報していた。
 警視庁は両店から事情を聞き、買い取りや転売の経緯を調べる方針らしい。

180万円の価格は、確かに安いと思うが、本当の仕入れ価格が480万円で、販売価格が1040万円なのだろうか。
あるいは老舗百貨店のブランド効果で1040万円なのだろうか。

いずれにせよ、落語になりそうな、「粗忽」な事件と思う。
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