第18話:競馬と利島岩男の早期退職

文字数 1,541文字

 4月25日、JR宝塚線の尼崎~塚口間で上り快速電車が脱線し、1両目と2両目が線路脇の9階建てマンションに激突した。そして、運転士を含む107人が死亡し約550人が負傷するJR宝塚線脱線事故が発生した。5月26日、公正取引委員会の告発を受けた検察当局が橋梁談合組織幹事杜の営業担当者ら14人を独禁法違反の疑いで逮捕し、7月12日には道路公団元理事を独禁法違反容疑で逮捕した。

 7月25日には内田道雄副総裁も封助容疑などで逮捕された。8月8日、参院で郵政民営化法案否決され、小泉首相が衆議院を解散し、郵政解散と呼ばれた。10月1日、道路関係4公団が分割・民営化された。そして、高速道路会社6社が発足した。10月14日には郵政民営化法案が参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。

 今年も年末が近くなり利島岩男が父を有馬記念に行こうと誘うと喜んでくれた。そして、12月25日、昼過ぎに家を出て14時過ぎに中山競馬場に入り競馬新聞を読んだ。15時頃にパドックへ出走馬の様子を見に出かけた。2人は、いつもの様にじっくりと出走馬の様子をながめた。そして、利島岩男が6番ディープインパクトと10番ハーツクライと2頭の馬の名前を挙げた。

 そして、父にどっちが良いかなと聞いた。確かに大きな差はないが6番ディープインパクトは本命で当たっても小さいと言った。それを聞き10番ハーツクライの単勝30枚と複勝30枚を買うことにし、急いで馬券売り場へ行き馬券を買った。そして、観覧席に着くと、すぐにレースが始まった。2コーナーで6番ディープインパクトが11番手、10番ハーツクライは4番手。

 3コーナー「2周目」で6番ディープインパクトが10番手となった。10番ハーツクライは変わらずの4番手。4コーナー「2周目」で6番ディープインパクトが7番手に上がった。10番ハーツクライは5番手だった。その後、直線に入ると6番ディープインパクトと10番ハーツクライが一気に加速し1、2番手となり10番ハーツクライが6番ディープインパクトに1/2馬身差で優勝を飾った。

 この様子を見てディープインパクトを応援する大勢観客のため息が聞こえた。その後、急いで払戻所に行き、払戻金53100円を手にした。そして、途中、船橋で酒のつまみと夕食のおかずを買って利島岩男と利島兼倶が自宅に帰った。そして、風呂に入り出て来てビールをあけて乾杯した。その時、今日の競馬の話をして盛り上がった。

 やがて2006年が明け、1月1日、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し世界最大規模の銀行になった。1月16日、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部がライブドアに強制捜査が入った。そして、1月18日、東京証券取引所が開くとライブドア株の売り注文が殺到し、売買取引を全面停止する事態となった。この頃、利島岩男の勤めるM電機で早期退職の募集が張り出された。

 その条件は、10年の早期退職の条件が、その時点の退職金が2倍とするものだった。それから1年毎に10%ずつ退職金の倍率が減り、5年の早期退職で、その時点の退職金の1.5倍となり、毎年10%ずつ減るシステムを会社側が組合を通じて社員達に通達した。それを見て利島岩男は10年、早期退職で1200万円の退職金の2倍である2400万円をもらう選択をした。

 こうして、2006年3月末付けで利島岩男はM電機を早期退職して2400万円の退職金を手にした。5月22日、全国19の社会保険事務所で計4万2702人分の国民年金保険料の無断免除・猶予が発覚して大きな問題となった。6月5日、東京地検特捜部はニッポン放送株の売買をめぐるインサイダー取引容疑で村上ファンド代表・村上世彰容疑者を逮捕した。
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