第11話:10分先が見えるって本当?!

文字数 1,519文字

 すると、親子だから構わないよと笑いながら言った。こうして、試しに1987年12月27日の第32回有馬記念に行くことにした。そして、13時10分に船橋駅で待ち合わせた。そして、14時半中山競馬場に入り、父は競馬新聞をじっくり見て有馬記念の出走馬を確認した。その後、15時頃にパドックに着き、少しして目の前を通りすぎる馬の様子をじっくり見た。

 そして、父は真剣な目つきになり馬たちの様子を見終わると馬券を買いに行くぞと言った。2人は早足で馬券売り場に行き父が単勝7番メジロデュレン30枚、複勝7番メジロデュレン30枚と言った。お前も俺と同じ様に買えと言われ購入した。買うと急いで観覧席へ戻った。少しするとレースが始まった。2コーナーで7番メジロデュレンは12位で利島岩男は驚いた。

 しかし、その後、順位を上げていった。そして、3コーナー「2周目」で8位に上がった。その時、父が焦るなと言った。4コーナーで7位になり直線に入ると7番は一気に加速し次々に先行馬を抜いて1着でゴール。その時、父が小声で勝ったーとつぶやき、急ぎ足で払戻所へ行って1人87300円ずつの払戻金をもらった。

 その後、利島岩男が父にどうやって競馬馬の調子の良し悪しを見分けるのかと聞いた。それに対して、1つ目が馬が落ち着いているどうか、2つ目に馬体が締まっているどうか。3つ目に馬の歩き方がスムーズかどうか、4つ目に馬の歩く姿に覇気はあるかどうか。5つ目にその馬の人気があるか、なしかで差をつけず公平に判断すること。

 この5点が大切だと教えてくれた。もっとも、これは、ある先輩に教えてもらったことだと打ち明けた。本当に大切なのは自分の直感だと父が言った。その後、利島兼倶が船橋の寿司屋で上寿司3人前を買った。利島岩男も上寿司2人前を買いそれぞれ、自宅に戻った。酒が入ると父が昔話を始めた

「俺は若い頃、時化の激しく雨風の激しい時に漁船に乗って漁に出かけた」
「その時、魚の群れを見るために船の縁から海原を見ていた」
「あまりに揺れがきつく船から振り落とされて意識を失った」
「そして、海中に沈んだ。しかし、少しして意識が戻った」
「すると、まだ若いのに死ぬわけにはいかないと思いこみ上げてきた」

「そこで、全力で泳ぎ海上に浮かび上がり仲間の漁師に引き上げてもらい助かった」
「その後、何かに集中して見ると5分先の未来が見えるようになった」
「あまりに面白いので集中力の訓練を重ねると5分が10分になった」
「3年もすると最大20分先まで見通せるようになったと話した」
「あまりに荒唐無稽な話なので利島岩男が本当かよと言った」

「それに対して、本当かどうかは、お前が決めることだと言い切った」
「お前も俺の血を継いだのだから訓練次第で20分先の予想ができるかもと言った」。
「それを聞いて、そうなれたら良いなと笑いながら言った」
「ものは、試しと言うからお前も訓練してみたらどうかと薦められた」
「利島岩男が自分も学生時代に少林寺拳法をやっていた」

「そこで相手の動きの先を呼ぶ訓練をしたと打ち明けた」
「それなら、なおさら、競馬場でも先を見通す訓練をしたら良いと言った」
「そうね、訓練してみると面白いかも知れないと利島岩男が答えた」
 その後、10月19日、ニューヨークの平均株価が史上最大の22.6%と大幅に下落。

 それを受け10月20日、東京株式市場が1日で下落率14.9%となった。1988年が明けると2月10日ファミコンソフト『ドラゴンクエストⅢ』が新発売され1日で百万本を完売した。3月13日、青函トンネル「53.85キロ」が開通した。そして、JR海峡線運転開始され青函連絡線80年の幕が閉じた。
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