第12話 本気 元気 勇気
文字数 1,458文字
普段は前方のドアを開けて、教壇に立つのだが。
あいうえお順で、本来は高久が前の方だったのだが勝手に席替えしてしまったのだ。
それ以降、勝手に席替えが横行し、今ではあいうえお順に出席を取ると、あちこちてんでばらばらに手が挙がるようになってしまった。
指導力の無さの表れ、と白鳥に指摘されたが、目が悪い生徒が前方に数名居るのも確かで、仕方なしとしたのだが。
「あ、キンタマ来たー」
びくっとして
担任の
割にまともな姿だ。
髪の毛はどうしようもなかったのだろう、つたないながらも後ろに一本に束ねてあり。
スーツはちょっと明るめのグレーのもの。
インナーがブラウスやシャツではなくティーシャツなのが残念だが、中身は男子高校生なのである。
頑張った方だ。
そうだ、褒めて伸ばさねばならぬ。
お前はよくやったと
クラス委員長の
「起立、礼、おはようございます」
号令と共に全員が従った。
「・・・おはようございます」
「では、出席を取ります。・・・
「はい」
「
はい、とあちこちから手が上がった。
「・・・
はい、とハラハラしながら手を挙げた。
目が合った。
「・・・
全員、合計三十人の名前を呼んで、
「全員出席ですね。・・・今日は、午後から避難訓練がありますから、放送があったら速やかに行動してください」
どうした。すごいまともだ。
「それでは、クラス目標唱和」
「本気、元気、勇気!」
これこそ四月に皆で決めた目標なのである。
他のクラスは「真摯・努力・達成」や「精神一到」や「ボーイズビーアンビシャス」等、それぞれ個性が表れている。
クラス目標が決定して、学年会議で学年主任の白鳥に、小学生かと一度却下されたのだが、
自分たちで一番最初に決めたことを、ダメだ、やり直せと言いたくはなかったから。
全員が着席して、一限目の現代文の準備を始めた時、
「
「・・・は、はい」
そうだ。
彼は生き物委員か放送委員を希望したが、まさかのジャンケン三連敗で決まったのだ。
経緯はどうあれ、
しかし、午前の授業が終わり、昼食の合図の音楽が放送された時にはもうぐったりで・・・。
内容自体は、まあ遠い昔とはいえ、知らぬことではないし、わからないとか戸惑いなどということはない。
だが、座ってほぼ四時間授業を受けるのがこんなにしんどいとは・・・・。
「
「・・・あー、保健室行って保健だよりもらってくるから、食べてて」
「オッケー。ほら、
財布を握りしめた