第27話 鉄壁のサエル
文字数 2,087文字
アウラとイシアルの前に現れる黒いゲート。
現れたのは二人の魔族、バランとオノクリアだった。
「イシアル、バランの相手を頼む。俺はオノクリアの相手をする」
イシアルは空に飛び立ちバランの攻撃を警戒する。
アウラからバランの攻撃方法を聞いている。
ゲートの中に閉じ込めたり、ゲートを閉じ切断するといった攻撃方法をとる。
ゲートの数に限りはなく、大きさにも限りはない。そして、生成できる場所にも限りはない。
早速、イシアルのお腹を切り裂くようにゲートが生成される。
その空間にできたゲートは既に閉じていたが、咄嗟に移動し回避することができた。イシアルは周囲の警戒を怠らない。
ゲートは魔法によるもので、アウラがゲートのふちに触れれば、そのゲートは飛散する。
だから、魔法になれているイシアルなら魔力でどこにゲートが生成されるかいち早く知ることができた。
アウラのほうがバランと相性がいいが、イシアルに任されたのにはちゃんと理由がある。
それは魔王側近のオノクリアだ。
彼の固有スキル《猛者》は相手よりも強くなるというもの。
これは固有スキルにより絶対の敗北が約束されている。だから、絶対に死ぬことのないアウラが相手をするしかなかった。
さらにオノクリアは、この固有スキルがなくとも魔王と拮抗した力を持っていたという。だから、アウラのような例外以外では一対一でオノクリアに勝てるものはいないのだ。無論、元魔王デネボラも例外ではない。
イシアルはオノクリアの事を一旦忘れバランに集中する。
最強であるオノクリアを考えないでいられる程の技を今のアウラは持っているから。
イシアルはバランの仮初の本体に向かって攻撃を開始する。最強の攻撃となり、最強の移動手段となり、最強の盾となるゲートがイシアルの魔法を飲み込んだ。
アウラとオノクリアは向き合いながら少しずつ二人の戦いから離れていく。
「魔王ヘルト様にあなた方の相手をするようにとお申し付けをいただきました」
「そうか。俺を殺せるのか?」
「無理ですが、命令なので」
目にもとまらぬ速さで飛び出してくるオノクリアの拳がアウラを打ち抜く。
もちろん吹き飛ばされるだけでダメージは一切受けない。
「触れて来てくれて助かるよ」
アウラの最強スキルがオノクリアに発動する。
攻撃固定、触れた相手の攻撃対象をアウラに固定する。絶対にアウラ以外に攻撃することはできなくなる。
ただし、アウラ以外の相手の攻撃を防御することは可能だ。
「では、そのスキルが切れるまで私だけの相手をしてもらいましょう」
オノクリアの攻撃はすさまじく、イシアルを手伝う隙を与えてはくれなかった。
当たり前だった。純粋な戦闘力は、破壊神ダリアムを含まなければこの世界で一番高いのだから。
ボロボロになったロザリアが倒れていた。
そんなロザリアに魔法をぶつけ続けるサエル。
「貴様貴様貴様貴様貴様!!!!」
怒号のままロザリアの体を傷つける。
ロザリアの体は攻撃を受けるたびに自動で修復を始めていたが、まるで生き地獄の様になっている。
怒りが肩で息をするサエル。
ロザリアはぼろぼろの体を立たせる。
「だいぶ、魔力を使ったんじゃない?」
その言葉にサエルが我に返る。
ロザリアは力尽きてサエルの攻撃を受けていたわけではない。魔法を使わせ、魔力を消費させていたのだ。体が自動的に修復する性質を利用して。
「だからってお前の攻撃で何ができる。この結界を超えられないだろ」
同時にロザリアが双剣を打ち付けるが、結界は涼しい顔で受け止める。
「18枚も張られた結界をどう突破する!」
ロザリアに対策なんてない。ただ全身全霊でぶつかるだけ。
「はぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ」
ロザリアの咆哮が迸る。
加速するにつれ空間が悲鳴を上げる。筋肉が膨れ上がり、体が変化していく。より力が増していく。
そして、結界にひびが入る。
「バカな!速さでこの結界を!」
「遅い攻撃が重くて、早い攻撃が軽いとか思ってんの!ゆっくり迫ってくる攻撃が、早く迫ってくる攻撃より強いわけないでしょ!早ければ早いほど、その力は爆発的に跳ね上がるのよ!」
そして、結界が割れた。
「ま、まだ一枚目だ!」
ロザリアの速さはもうアウラを超えていた。
ロザリアの強大な筋肉がアウラを超えた速度で、無数の斬撃を放つ。
「ば、なかな!こんな脳筋に!何の柵も減ったくれもない攻撃に!押し切られるだとぉおおお!」
残りの結界が瞬く間に壊されサエルの硬い胴体があらわになる。
今のロザリアの力はすでに魔王の領域に達しようとしていた。
「魔王」
ロザリアの瞳にうっすらと映る魔眼にサエルは思わずそうつぶやいた。
全身を、双剣を、血に濡らし悪魔の様に笑っている。
この状況を楽しんでいる。
双剣の強みは手数だ。しかし、いまのロザリアには不要だった。
素早い一撃でサエルの立つ台地が凹み、大きなクレーターを作り出す。
消し飛んだサエルの体の断片が雨となってその場に降り注いだ。
その中心にたつロザリアは血の雨を浴びながら上機嫌に声をあげて笑っていた。
現れたのは二人の魔族、バランとオノクリアだった。
「イシアル、バランの相手を頼む。俺はオノクリアの相手をする」
イシアルは空に飛び立ちバランの攻撃を警戒する。
アウラからバランの攻撃方法を聞いている。
ゲートの中に閉じ込めたり、ゲートを閉じ切断するといった攻撃方法をとる。
ゲートの数に限りはなく、大きさにも限りはない。そして、生成できる場所にも限りはない。
早速、イシアルのお腹を切り裂くようにゲートが生成される。
その空間にできたゲートは既に閉じていたが、咄嗟に移動し回避することができた。イシアルは周囲の警戒を怠らない。
ゲートは魔法によるもので、アウラがゲートのふちに触れれば、そのゲートは飛散する。
だから、魔法になれているイシアルなら魔力でどこにゲートが生成されるかいち早く知ることができた。
アウラのほうがバランと相性がいいが、イシアルに任されたのにはちゃんと理由がある。
それは魔王側近のオノクリアだ。
彼の固有スキル《猛者》は相手よりも強くなるというもの。
これは固有スキルにより絶対の敗北が約束されている。だから、絶対に死ぬことのないアウラが相手をするしかなかった。
さらにオノクリアは、この固有スキルがなくとも魔王と拮抗した力を持っていたという。だから、アウラのような例外以外では一対一でオノクリアに勝てるものはいないのだ。無論、元魔王デネボラも例外ではない。
イシアルはオノクリアの事を一旦忘れバランに集中する。
最強であるオノクリアを考えないでいられる程の技を今のアウラは持っているから。
イシアルはバランの仮初の本体に向かって攻撃を開始する。最強の攻撃となり、最強の移動手段となり、最強の盾となるゲートがイシアルの魔法を飲み込んだ。
アウラとオノクリアは向き合いながら少しずつ二人の戦いから離れていく。
「魔王ヘルト様にあなた方の相手をするようにとお申し付けをいただきました」
「そうか。俺を殺せるのか?」
「無理ですが、命令なので」
目にもとまらぬ速さで飛び出してくるオノクリアの拳がアウラを打ち抜く。
もちろん吹き飛ばされるだけでダメージは一切受けない。
「触れて来てくれて助かるよ」
アウラの最強スキルがオノクリアに発動する。
攻撃固定、触れた相手の攻撃対象をアウラに固定する。絶対にアウラ以外に攻撃することはできなくなる。
ただし、アウラ以外の相手の攻撃を防御することは可能だ。
「では、そのスキルが切れるまで私だけの相手をしてもらいましょう」
オノクリアの攻撃はすさまじく、イシアルを手伝う隙を与えてはくれなかった。
当たり前だった。純粋な戦闘力は、破壊神ダリアムを含まなければこの世界で一番高いのだから。
ボロボロになったロザリアが倒れていた。
そんなロザリアに魔法をぶつけ続けるサエル。
「貴様貴様貴様貴様貴様!!!!」
怒号のままロザリアの体を傷つける。
ロザリアの体は攻撃を受けるたびに自動で修復を始めていたが、まるで生き地獄の様になっている。
怒りが肩で息をするサエル。
ロザリアはぼろぼろの体を立たせる。
「だいぶ、魔力を使ったんじゃない?」
その言葉にサエルが我に返る。
ロザリアは力尽きてサエルの攻撃を受けていたわけではない。魔法を使わせ、魔力を消費させていたのだ。体が自動的に修復する性質を利用して。
「だからってお前の攻撃で何ができる。この結界を超えられないだろ」
同時にロザリアが双剣を打ち付けるが、結界は涼しい顔で受け止める。
「18枚も張られた結界をどう突破する!」
ロザリアに対策なんてない。ただ全身全霊でぶつかるだけ。
「はぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ」
ロザリアの咆哮が迸る。
加速するにつれ空間が悲鳴を上げる。筋肉が膨れ上がり、体が変化していく。より力が増していく。
そして、結界にひびが入る。
「バカな!速さでこの結界を!」
「遅い攻撃が重くて、早い攻撃が軽いとか思ってんの!ゆっくり迫ってくる攻撃が、早く迫ってくる攻撃より強いわけないでしょ!早ければ早いほど、その力は爆発的に跳ね上がるのよ!」
そして、結界が割れた。
「ま、まだ一枚目だ!」
ロザリアの速さはもうアウラを超えていた。
ロザリアの強大な筋肉がアウラを超えた速度で、無数の斬撃を放つ。
「ば、なかな!こんな脳筋に!何の柵も減ったくれもない攻撃に!押し切られるだとぉおおお!」
残りの結界が瞬く間に壊されサエルの硬い胴体があらわになる。
今のロザリアの力はすでに魔王の領域に達しようとしていた。
「魔王」
ロザリアの瞳にうっすらと映る魔眼にサエルは思わずそうつぶやいた。
全身を、双剣を、血に濡らし悪魔の様に笑っている。
この状況を楽しんでいる。
双剣の強みは手数だ。しかし、いまのロザリアには不要だった。
素早い一撃でサエルの立つ台地が凹み、大きなクレーターを作り出す。
消し飛んだサエルの体の断片が雨となってその場に降り注いだ。
その中心にたつロザリアは血の雨を浴びながら上機嫌に声をあげて笑っていた。