桐ノ匣

作者 桐乃桐子

[その他]

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22件のファンレター

1話、1ページ完結の、短いお話を書いていく予定です。
ジャンルはたぶん無節操になるかと思います。

ファンレター

第8話 愛してない

没入感が凄くて言葉を失いました。体温の低い文章のその奥に、ヒロインのトラウマめいたものが無理やり押し込められているような感覚。底に流れているのは、激流のような。そして救いがない中にも、生々しい耽美さを感じてしまいました。
読みながら、「生きるための自傷」という言葉を思い出しました。ヒロインの行為は、まるで自傷のような恋愛みたい。心の痛みを体の痛みに置き換えて、ともすれば乖離してしまいがちな心を痛みで繋ぎとめて。忌まわしい記憶に蓋をして、悲しむことも忘れてしまっているみたいで。
ラストも響きました。いつかヒロインが自分自身を愛して、自分の傷を悲しむことができるようになれば、世界が変わるかもしれない。
文字数を凌駕する世界観を持った作品だと感じました。衝撃を受けました、この作風、文体も大好きです。

返信(1)

佐久田さん、お読みいただきありがとうございます!
お返事が遅れてすみません(>_<")
いただいたお手紙、とてもうれしく拝見しておりました。

佐久田さんが書いてくださるお言葉は、いつも驚くほど的確で鋭くて、それでいて優しくて、詩のように心に響くフレーズばかりで。
この「驚くほど」というのは、わたし自身がそこまで掴めていなかったものを、佐久田さんがスッと掬い上げて差し出してくださることへの「驚き」なのです。
その慧眼に、いつも感服するばかりです(*´-`)

主人公のこの状態が先天的なものなのか後天的なものなのか、それは彼女自身にもわからないことで、気がついたときにはすでに彼女はそうだった、としかいいようがないのですが、痛みを拠り所にして生を実感する、というのは案外あることなのではないかと思ったりします。痛覚は死への予防線みたいなものだと思うので。
でも、主人公は、いま自分と関係を持つ男以外から受けるフィジカルな攻撃にはなにも感じない、のですよね。初対面でいきなり平手打ちされても、痛みを感じない。痛みを与えてくれるならだれでもいいわけではなく、それなのに「愛してない」。ものすごく歪んでいます。自分を絶対に好きにならない相手しか選ばないし、選べない。

「いつかヒロインが自分自身を愛して、~」という佐久田さんのお言葉が、暗闇に差すひと筋の光のよう。心に沁み入りました。
美しく優しいお言葉の数々、そして「この作風、文体も大好きです」とのうれしいお言葉、本当にありがとうございます(〃ω〃)