フレイグラント・オーキッズ!~香蘭の乙女たち~

[学園・青春]

273

28,369

40件のファンレター

時は昭和十一年春、所は横浜の名門基督教女学校――香蘭女学校。
一年生の春野こず枝は、五年生の小野寺房子さまが級友の林鏡華さんと〈エス〉の関係――つまり、〈姉妹〉の契りを結ぼうとする現場を目撃してしまう……。
フレイグラント・オーキッズ(Fragrant Orchids)――香り高き蘭の乙女たちの物語。

※〈エス〉というのは、〈シスター(Sister)〉の頭文字で、戦前の女学校風俗の一つです。
※表紙イラスト及び登場人物のキャラクター画像は、あままつ様のフリーアイコンを使用させていただきました。

ファンレター

素敵な剣戟シーン

三奈乃さんは戦いの場面を描いてもカッコいいなあと思いました^^! 
実は私は戦いの描写が苦手で、時代小説執筆を始めた頃はチャンバラにも挑戦したのですが、やっぱり無理かなあと感じて(だって男性の書き手に敵わないんですもの!)史実寄りの歴史小説に路線変更した、という経緯があります。でも三奈乃さんは書けるわけですから、言い訳無用なのかもしれません。

そうそう、女の子だけの戦いのシーンって、日本の時代小説にはほとんど出てきませんよね。だから24話はかなり新鮮に感じました。そして25話の解説がまさにドンピシャ(笑)! 心を読まれていたような気さえしました。
ちなみにこの女優さん、素敵ですね。

質問です。中華世界の戦いのシーンって、どの程度「リアル」なんでしょう? ファンタジーに近いものとして理解すべきなんでしょうか。
中国映画(あまりたくさんは見ていないのですが)などでは、現実ではありえないようなアクロバットも出てきますよね。なので女性が戦うイメージもその延長なのかと(もちろん男性が戦う日本の時代小説だって、リアルかどうかは微妙ですが)。

あと、お札が出てくると、昔のキョンシー映画などを思い出します。これも道教のイメージなのでしょうか?
長くなってすみません。またお邪魔します^^! 

返信(2)

わあ、つばめさん、ありがとうございます!…もちろん、私にアクションシーンが「書ける」なんてつばめさんの買い被りで、内容的にまだまだです~^^;…でも、アクションシーンーー特に中華世界のアクションシーンに惹かれてしまう人間としては、機会があればまた挑戦してみたいです!劉亦菲いいですよね、私も好きです。
ご質問の部分ですが、ああいう「アクロバット」的なアクションシーン、露骨に言ってしまうと「飛ぶ」やつですね(笑)つばめさんはご存知かと思いますが、あれは「輕功」(チィン・コン)と言います。「輕功」は「點穴」(身体の一部を押すと動けなくなったりしてしまうやつ)と同じく武侠物のお約束に属するもので、もちろんフィクションですが、でも「女俠」(俠女)の伝奇物語は唐代からいろいろありますし、謝小娥なんて実在の人物もいます。小説では「兒女英雄傳」というのがありまして、これは清の時代に書かれた作品なのですが、「十三妹」(シィ・サン・メイ)という女俠が主人公です(武田泰淳が『十三妹』というタイトルで小説化していて中公文庫に入っています。冒頭、「侠」について、武田泰淳が語っています。ご興味があったら、ぜひ読んでみて下さいね^^)この「十三妹」って、中国人なのになんと日本刀で戦うんですよ!あと、武侠小説の巨匠・金庸の作品では、女俠が完全に男性と互角に戦います。つばめさんが見た中国映画の女俠のイメージは、たぶん、金庸の作品のイメージが原型になっていると思います。
まあ、「輕功」は嘘ですが、でも、これだけ女俠のイメージが氾濫しているということは、事実としてやっぱりそういう「強い女性」が存在していたのではないかと私は思っています。武田泰淳も、そういう「物騒な仕事」には「まれに女もまじっていた」なんて書いています。中華世界の女性――あの眼尻の釣り上がった「鳳眼」の女性たちを見ていると、「劍」ぐらい振り回しても、少しもおかしくない印象があります。

それから、私の作品では語り手が日本人のこず枝さんなので「お札」と書きましたが、中国語では「符咒」と書きます。キョンシーを法術で倒したりするのは、仰る通り道士の仕事です。道教にもいろいろ流派があるのですが、こういう「符咒」や「法術」を使うのは、正一派(正一道派)と呼ばれる流派で、だから鏡華さんも正一派という設定になっています。ちなみに、キョンシーは漢字では「殭屍」と書きますが、北京語の発音では「チィアン・シー」となります。私もよくわからないのですが、日本で「キョンシー」というのは、広東語発音から来ているのではないか、と思います。以前流行ったのは、香港映画でしたよね!
「殭屍」とは、死後硬直した屍という意味です。それが鬼の力によって動き出して人間を襲うのは、古代から栄養価が一番高いのが人間の血だと考えられていたためで、噛みつくのは一種の栄養補給行動なわけですね(笑)

ちょっとご返信が長くなり過ぎました(つばめさん、読んで下さるかな?^^;)今度、こういう話を改めてエッセイで書いてみようかなあ、なんて考えています。
ばっちり読みましたよ~^^!!
こんなに丁寧に答えて下さって、恐縮です。本当にありがとうございます!
そうそう、「飛ぶ」やつです(笑)。あり得ないだろーって突っ込みたくなります。でも確かに、実際に戦う女性がいたからこそこういう物語が生まれたのでしょうし、「お約束」事も完成されてきたんでしょうね。
武田泰淳、面白そう! さっそく図書館に予約しました。
道教の話、本当に独立したエッセイになるぐらいの内容だと思いますよ。三奈乃さんの文章なら、理解しやすいものになりそう。ぜひぜひよろしくお願いします^^!