「埋もれた日本」はどこにある?

作者 mika

[歴史]

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『古寺巡礼』や『風土』などの著作で知られる哲学者・和辻哲郎は、戦中には『尊皇思想とその伝統』や『日本の臣道、アメリカの国民性』などを書き、天皇と国家のために身命を惜しまず、滅私奉公するのが日本古来からの伝統だと語りました。
『埋もれた日本―キリシタン渡来文化前後における日本の思想的状況』から、戦後の和辻の歴史観に迫りたいと思います。戦中と戦後で、日本礼賛から西洋礼賛へ180度思想を転向させたように見えますが…。

ファンレター

和辻哲郎

和辻哲郎が戦中・戦後でそのように思想を表現していたこと、初めて知りました! それにしても、この哲学の巨人が抱いた独特の歴史観を看破し、批判を加えられるmikaさん、すごいです……。勉強になりました。
遅くなりましたが、書評コンテスト入選おめでとうございます! 優秀作品の名に恥じない、優れた書評でした。

返信(1)

あおぞらさん、お忙しい中でお読みいただき、お祝いの言葉まで、本当にありがとうございます!
歴史女子の大先輩であるあおぞらさんに、「勉強になった」と評価してもらえて、身が引き締まる思いです。
和辻の『日本の臣道』は、現在では引用するのもはばかられるような文言がたくさんあります。青空文庫では、和辻の著作がたくさん読めますが、この『日本の臣道』はありません。『埋もれた日本』や『鎖国 日本の悲劇』は青空文庫で読めるんですよ。政治的な配慮を感じます。
青空文庫を読むのは主に中高生なので、『日本の臣道』も収録してほしいです。歴史家や思想家が「それは日本の伝統だから正しい」「それは道徳的に正しい」と軍部の政策におすみつき、思想的正当性を与えることは、立派な戦争協力です。戦中に文学者や哲学者たちが、どんなことを書いていたのか知ることは、現在の若者にとっても意味があると思います。