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文字数 2,500文字
「もう牛乳飲めないよぉ……」
寝ぼけている相方の尻を叩く音が暗い地下室に木霊する。
「痛っ!」
「板なのは貴方の胸でしょう。いい加減目を覚ましたらどうですの?」
「……サクナ? なんで全裸なの? 露出狂なの?」
「貴方も今、丸腰のツルツルのペッタンコですわ」
「はぁっ!? まさかサクナ、あんた……」
青ざめた顔で相方から後ずさるツインテール美少女。
「失敬な! ワタクシ、そんな趣味ありませんわ!!」
「ここはどこ? 確か……あんたが炎天下、ストリップ始めたとこまでは覚えてるんだけど……」
「それは貴方ですわ! キスしてってねだりながら突然脱ぎ始めて……」
「んなわけあるかっ!」
再び喧嘩が勃発しそうになったところで仲裁の声が入る。
『ブヒャヒャヒャ、醜く可愛い子豚ちゃん。競い合うンは構わんけどな、まだ傷モンにされたら困るンや』
「あんた誰っ!? 乙女にこんな辱めをしてタダで済むと思ってんの!」
「お嫁に行けなくなった賠償金は、たっぷり請求させていただきますわ!」
地下室のスピーカーに向かって噛み付くように吠えるツインテールとオッパイ星人。
『いや、おまンら最初から全裸やないか……』
トン引きながら、声の主は地下室に箱を二つ落とした。
『そン中にはピギータイムの参加証が入っトンや。見事オイトンのワイフ・コレクションを出し抜けたら、栄えあるワイフ・オブ・ラウンドに招待したるでぇ』
用心深く開けた箱の中にはメイド服が入っていた。
いつまでも全裸で視姦されているよりはマシなので、二人とも渋々メイド姿となった。
背丈は似ているので問題なかったが、一方のブラジャーはブカブカ、他方はメイド服まではち切れんばかりのパッツンパッツンだった。
『ブヒヒ……。よぉ似おうとるでぇ』
「……貴方、ドン・トンドールですわね?」
『ほぉ……知っトンのか』
「アマリリス・開拓者 ランク21位、ランカーネームは夜の豚王!」
『あまりにも不用心過ぎてまさかとは思ったンやが、同業者やったンか』
「え? 誰?」
1人だけついていけてないツインテール。
「100位までのランカーネームくらい、覚えたらどうですのっ!?」
「覚えられるかっ! アタシは武闘派なのっ!」
「開拓クエストを金に物を言わせ、召使いにやらせてるだけのただの豚ですわ」
「なんだ、自分じゃ何も出来ないただの豚か」
『世の中金や。開拓王も金で買える事を証明したパイオニアの中のパイオニア。おまンらもシンデレラストーリーを夢見て開拓業を始めた田舎モンやろ?』
「まぁ……当たらなくも?」
「……遠からず?」
『ブヒャヒャヒャ! オイトンのワイフになれば夢が叶う。せいぜいオイトンに醜く可愛い子豚っぷりをアピールするンやな!』
地下室の床が傾き始め、開いた穴へ滑り台のように滑り始める二人。
「わわわわっ!」
「あ~れ~、ですわぁぁぁ!」
逆走しようともがいてたツインテールの横をオッパイ星人が滑っていく。
「ぶっ!?」
すれ違い様に足を掴まれて顔面を強打し、二人とも暗い穴の底へ滑り落ちていった。
『さぁ~て始まりました、恒例のピギーレース! 今回のクエストは……ブッシーを探せ!』
番組MCの声がトンネル内に響き渡る。
滑り台の先は巨大な地底湖になっていた。
勢い余った二人はそのまま地底湖へダイブインした。
『お~っと、早速無謀なピギーのお出ましだ! この地底湖の水質は酸性! さらに比重が重く浮かび上がるのが困難! 30秒も潜れば皮膚はただれ始めるでしょう! これはいきなり高ポイント獲得なるか?』
「ゴボゴボ……!」(なんか顔がチリチリする!)
「ゴボガバ……?」(暴れないでくださる?)
「……ゴボガベ!」(足を離せ、バカ!)
振りほどこうとするツインテールをオッパイ星人が引き寄せ、どこから取り出したのか風船の中に彼女を入れた。
『お~っと、なんだあれは? バルーンのようなものが浮かびあがってきたぞ!』
———パンッ!
水面に上がって間もなく風船は割れ、二人は急いで岸へ上がった。
「あぁん! お肌がちょっと赤くなってますわぁ!」
「どこに救急バルーン隠し持ってたの?」
「秘密です。パイオニアたる者、過酷な惑星環境下に対する備えは常に持ち歩くべき、ですわ」
「備えを怠ったから、今こんなとこに居るんじゃ……」
「……何か言いました?」
「いいえ。ありがとうございます、サクナ様は命の恩人です」
「ふふーん。苦しゅうありませんわ、シャトラ」
シャトラとサクナの周囲を中継用のドローンが飛び回る。
気付いた美少女二人はカメラに向かってウインクとVサインを送った。
『今入った情報によりますと、この二人はペアで飛び入り参加のピギーのようです。中々可愛い顔立ちをしていますね! どんな醜態を晒してくれるのか今から楽しみです! それではそろそろベットの締め切りをさせていただきます。最もギャップある醜態を晒してくれるピギーは果たして?』
「ブヒっ!? あのピギーペア、パトロンがついトンか?」
モニタールームで地下ギャンブルのベット状況を見ていた豚王は度肝を抜かれた。
シャトラとサクナにとんでもない金額を賭けた者がいる。
すぐさま黒服が参加者データを洗い出した。
「履歴にはありません。新規参加者です」
「どうせこのレースの趣旨を理解しとらン素人やろ。ピギーが開拓クエストを達成出来るかどうかは関係ない。見世物として銀河中のマニアックな豚共から金を搾り取るのが目的や。金さえあればパイオニアが達成した開拓クエストの権利を、フロンティアネット報酬の数倍上乗せして買収するだけ。これでまた一歩惑星の支配者へと近づく。この惑星がオイトンのハーレムになるンは時間の問題や!」
「私達はトンドール様にお仕え出来て光栄です」
「ブヒヒ、おだててもオイトンは木に登らンで。登り詰めるンはパイオニアランクや!」
寝ぼけている相方の尻を叩く音が暗い地下室に木霊する。
「痛っ!」
「板なのは貴方の胸でしょう。いい加減目を覚ましたらどうですの?」
「……サクナ? なんで全裸なの? 露出狂なの?」
「貴方も今、丸腰のツルツルのペッタンコですわ」
「はぁっ!? まさかサクナ、あんた……」
青ざめた顔で相方から後ずさるツインテール美少女。
「失敬な! ワタクシ、そんな趣味ありませんわ!!」
「ここはどこ? 確か……あんたが炎天下、ストリップ始めたとこまでは覚えてるんだけど……」
「それは貴方ですわ! キスしてってねだりながら突然脱ぎ始めて……」
「んなわけあるかっ!」
再び喧嘩が勃発しそうになったところで仲裁の声が入る。
『ブヒャヒャヒャ、醜く可愛い子豚ちゃん。競い合うンは構わんけどな、まだ傷モンにされたら困るンや』
「あんた誰っ!? 乙女にこんな辱めをしてタダで済むと思ってんの!」
「お嫁に行けなくなった賠償金は、たっぷり請求させていただきますわ!」
地下室のスピーカーに向かって噛み付くように吠えるツインテールとオッパイ星人。
『いや、おまンら最初から全裸やないか……』
トン引きながら、声の主は地下室に箱を二つ落とした。
『そン中にはピギータイムの参加証が入っトンや。見事オイトンのワイフ・コレクションを出し抜けたら、栄えあるワイフ・オブ・ラウンドに招待したるでぇ』
用心深く開けた箱の中にはメイド服が入っていた。
いつまでも全裸で視姦されているよりはマシなので、二人とも渋々メイド姿となった。
背丈は似ているので問題なかったが、一方のブラジャーはブカブカ、他方はメイド服まではち切れんばかりのパッツンパッツンだった。
『ブヒヒ……。よぉ似おうとるでぇ』
「……貴方、ドン・トンドールですわね?」
『ほぉ……知っトンのか』
「アマリリス・
『あまりにも不用心過ぎてまさかとは思ったンやが、同業者やったンか』
「え? 誰?」
1人だけついていけてないツインテール。
「100位までのランカーネームくらい、覚えたらどうですのっ!?」
「覚えられるかっ! アタシは武闘派なのっ!」
「開拓クエストを金に物を言わせ、召使いにやらせてるだけのただの豚ですわ」
「なんだ、自分じゃ何も出来ないただの豚か」
『世の中金や。開拓王も金で買える事を証明したパイオニアの中のパイオニア。おまンらもシンデレラストーリーを夢見て開拓業を始めた田舎モンやろ?』
「まぁ……当たらなくも?」
「……遠からず?」
『ブヒャヒャヒャ! オイトンのワイフになれば夢が叶う。せいぜいオイトンに醜く可愛い子豚っぷりをアピールするンやな!』
地下室の床が傾き始め、開いた穴へ滑り台のように滑り始める二人。
「わわわわっ!」
「あ~れ~、ですわぁぁぁ!」
逆走しようともがいてたツインテールの横をオッパイ星人が滑っていく。
「ぶっ!?」
すれ違い様に足を掴まれて顔面を強打し、二人とも暗い穴の底へ滑り落ちていった。
『さぁ~て始まりました、恒例のピギーレース! 今回のクエストは……ブッシーを探せ!』
番組MCの声がトンネル内に響き渡る。
滑り台の先は巨大な地底湖になっていた。
勢い余った二人はそのまま地底湖へダイブインした。
『お~っと、早速無謀なピギーのお出ましだ! この地底湖の水質は酸性! さらに比重が重く浮かび上がるのが困難! 30秒も潜れば皮膚はただれ始めるでしょう! これはいきなり高ポイント獲得なるか?』
「ゴボゴボ……!」(なんか顔がチリチリする!)
「ゴボガバ……?」(暴れないでくださる?)
「……ゴボガベ!」(足を離せ、バカ!)
振りほどこうとするツインテールをオッパイ星人が引き寄せ、どこから取り出したのか風船の中に彼女を入れた。
『お~っと、なんだあれは? バルーンのようなものが浮かびあがってきたぞ!』
———パンッ!
水面に上がって間もなく風船は割れ、二人は急いで岸へ上がった。
「あぁん! お肌がちょっと赤くなってますわぁ!」
「どこに救急バルーン隠し持ってたの?」
「秘密です。パイオニアたる者、過酷な惑星環境下に対する備えは常に持ち歩くべき、ですわ」
「備えを怠ったから、今こんなとこに居るんじゃ……」
「……何か言いました?」
「いいえ。ありがとうございます、サクナ様は命の恩人です」
「ふふーん。苦しゅうありませんわ、シャトラ」
シャトラとサクナの周囲を中継用のドローンが飛び回る。
気付いた美少女二人はカメラに向かってウインクとVサインを送った。
『今入った情報によりますと、この二人はペアで飛び入り参加のピギーのようです。中々可愛い顔立ちをしていますね! どんな醜態を晒してくれるのか今から楽しみです! それではそろそろベットの締め切りをさせていただきます。最もギャップある醜態を晒してくれるピギーは果たして?』
「ブヒっ!? あのピギーペア、パトロンがついトンか?」
モニタールームで地下ギャンブルのベット状況を見ていた豚王は度肝を抜かれた。
シャトラとサクナにとんでもない金額を賭けた者がいる。
すぐさま黒服が参加者データを洗い出した。
「履歴にはありません。新規参加者です」
「どうせこのレースの趣旨を理解しとらン素人やろ。ピギーが開拓クエストを達成出来るかどうかは関係ない。見世物として銀河中のマニアックな豚共から金を搾り取るのが目的や。金さえあればパイオニアが達成した開拓クエストの権利を、フロンティアネット報酬の数倍上乗せして買収するだけ。これでまた一歩惑星の支配者へと近づく。この惑星がオイトンのハーレムになるンは時間の問題や!」
「私達はトンドール様にお仕え出来て光栄です」
「ブヒヒ、おだててもオイトンは木に登らンで。登り詰めるンはパイオニアランクや!」