棋士

文字数 1,234文字

 聴取室で寝泊まり生活を始めて2週間が過ぎようとしていた。

 悠「もうマジで帰りたいんだが」

 さすがに嫌気がさし、早くシャワーを浴びたいと思って机にもたれかかっていると

 ガチャリ

 聴取室の扉が開いた

 飛鳥「おぉ、元気そうね。見舞いのりんごだ、ほれ」

 悠「所長!」

 中沢飛鳥さん、俺のいる探偵事務所の所長だ。普段は俺と二人きりで働き、事務所で寝泊り自堕落な生活を送っているが、重要な事件を前にすると目つきが変わり真剣に事件と向き合う。とても不思議な女性だ

 所長はドアを閉め、俺の向かいの椅子に腰かけた

 飛鳥「今度の君が配属される事件はもう聞いたか?」

 悠「えぇ、0殺人事件でしたっけ?」
 悠「けど俺は取り調べ受けけて、こっから出れないんです」

 飛鳥「ふぅん、いいだろう。私が人肌ぬいでやろう!」

 所長はスマホを取り出し、電話をかける

 飛鳥「そこをなんとか...本当か?...あぁ、それで頼むよ」

 所長が電話を切ると、笑顔でこう言った

 飛鳥「良かったな、もう君は自由だよ」

 悠「どうやって交渉したんですか」

 飛鳥「まぁ私は警視庁上層部と仲良しでね、いろいろコネを行使したのだよ少年」
 どや顔で言う所長

 悠「よくわかりませんが、わかりました」

 15時 0殺人事件捜査班

 釜野「おぉ、出られたんだな!」
 悠「みたいだな」

 飛鳥「じゃあ私は帰るよ、せいぜい頑張りたまえ少年」
 俺の肩をポンと叩いて去っていった

 釜野「飛鳥さんって綺麗だよな、良い女性だ」
 悠「おいおい、それはあれの普段の生活を見てから言ってほしいね」

 釜野「まぁいい、さて、お前がいない間に捜査が進んでいてな、その説明から入らせてもらう」

 釜野は部屋の電気を消し、他の刑事がプロジェクターを起動させた

 釜野「被害者はいずれも自宅で腹部を矢で射抜かれ出血多量で死んでいる。なんといってもこの矢で射抜かれた腹に刃物で刻まれた0の数字この0が一連の被害者すべてに書かれていた」

 釜野「俺たちは一連の犯行を同一犯の仕業と見て捜査をしている、だがこの犯人、痕跡を一切残してやがらない、相当手慣れている。お手上げってわけだ」

 釜野「そこで、お前とあともう一人、将棋棋士でこれまで的確な助言で事件を解決させてきたの名取圭吾さんをお呼びした」

 悠「棋士?」

 名取「どうも、こんにちは」
 高身長で青のスーツを着た丸眼鏡の男が入ってきた

 名取「僕が名取です。この事件捜査に本格的に協力することになった。みなさんよろしくお願いします。」

 謙虚な姿勢で深々とおじぎをする名取

 釜野「お前は名取と組んでもらう、よろしくな」

 名取「君が悠くんか、君の噂は聞いているよ、犯人を完全なる武力制圧でひれ伏せている」

 悠「そりゃどうも」

 名取「ふふふ、なかなか面白そうだ」
 気持ちわりぃ奴だなと思うもこいつの推理力は力になる、ここは謙虚にいこう

 悠「まぁなにはともあれ一緒にがんばろうな」

 名取「こちらこそ、よろしく頼むよ」
 不敵にほほ笑む名取だった
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