過去

文字数 681文字



 あの時、俺は最高にクールだった。


 高校生だった俺は喧嘩早くて、すぐに他校の不良たちと喧嘩を始める。


「アハハハァ!痛ぇかぁ!おめーらじゃ俺に勝てねえよォ!」


 相手を過度に痛めつけ、苦しむ声を聴くのが大好きで、高校に入学してすぐに残忍な喧嘩の天才として有名になった。


 そんな俺に友達は出来なかった。

 しかし、たった一人俺に構ってくれた同級生が居る。雪だ。


 雪「まぁた試験サボって喧嘩してきたの~?馬鹿だねぇ、そんなんだから成績落ちるんだよ」

 悠「うるせぇ、先に喧嘩売ったのはあいつらだぜ?これは正当防衛なんだ」


 雪は俺の幼馴染で、こんな俺に勉強を教えてくれたり、一緒に登校したりもした。


 悠「なぁ、雪。おれなんかとつるんでいいのか?周りになんか言われたりしねぇか?」

 雪「う~ん今のところ何も言われてないよ。幼馴染なんだから気にしない!それに私が悠に関わらなくなったら悠孤立しちゃうよ」


 この時、俺は自分の気持ちに気づいた。雪のことが好きだと。


 その後、俺は雪の勉強を教えてくれ続けたおかげで大学に進学した。さすがに喧嘩早い性格も丸くなり、主に臨床心理学について学んだ。


 二年後、俺は飛鳥探偵事務所の入社試験を受けた

 飛鳥「初めまして、私の名前は飛鳥探偵事務所所長の中沢飛鳥。渋谷に探偵事務所を構えているの」

 飛鳥「あなたの経歴を見させてもらったわ、前科はないが、喧嘩で有名人だったみたいね」


 正直、こんな俺を取ってくれるわけないと思っていた。

 探偵事務所は基本的に資格や学歴は問われない。まぁ最低限法律は知っておいた方がいいくらいだ。


 俺は晴れて、探偵になった。
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