訪問

文字数 1,102文字

 14時 飛鳥探偵事務所

 飛鳥「おー、帰ってきたようだな少年」
 デスクには煙草を吸っているポニーテールの女がいた

 悠「所長、ただいまです」
 俺はネクタイを緩めて、埃被ったソファに腰かけた

 飛鳥「どうかな?捜査は」

 悠「はぁ、なかなか進展しませんよ。」

 飛鳥「そうかぁ...大変だね」
 飛鳥はこちらに歩いてきて隣に座って肩にもたれてきた

 飛鳥「ねぇ...気晴らしに...慰めてあげよっか?」
 俺のズボンに手を当てる

 悠「所長、だめです。まだ昼間ですよ。」
 悠「それと、俺もう彼女いるんで」

 飛鳥「ちぇ、つれないやつめ」
 飛鳥は立ち上がり、珈琲を入れにキッチンへ向かう
 飛鳥「珈琲淹れるけど飲むか?」
 悠「お願いします」

 飛鳥「はい、珈琲」
 所長は机に珈琲の入ったマグカップを二つ置いた

 ピピピピ!
 すると、俺の携帯が鳴った

 悠「名取さんだ」

 電話に出ると
 名取「君に見てほしいものがある。時間は取らせない、僕の家に来てくれないか?」

 悠「は?見てほしいもの?何ですか急に。まぁ、良いですけど」
 俺は電話を切った
 飛鳥「やめておけ」

 俺の隣で飛鳥が囁く

 飛鳥「死にたくないならその名取とかいう男に深入りしないことだ」
 悠「え、なんでですか」

 飛鳥「いやただの勘だよ」

 悠「探偵事務所の所長ともあろう人が勘に頼るなんて、それに所長の勘が当たったことないでしょ」

 飛鳥「だといいけどね」
 所長は珈琲を飲みながら言った

 16時 東京 品川 名取邸

 悠「うぉぉでかいなぁ」
 そこは見るからに高そうな和風の豪邸があった
 悠「棋士ってのはこんなに稼げるのか」

 俺はインターホンを鳴らした
 悠「名取さん、来ましたよ」

 ゴゴゴゴ...

 大きな扉が開き、着物姿の名取が出てきた
 名取「やぁ、悠。どうぞ入ってくれ」
 悠「ゴゴゴゴって音鳴らしながら開く扉なんてマリオのクッパ城でしか聞いたことないですよ」

 玄関に入るとどこまでも続いていそうな大理石の廊下が広がっていた
 名取と俺はその廊下を歩く

 名取「なぁ、悠君。君は犯人の動機はスリルを味わいたいからといったね」
 悠「まぁ言いましたけど」

 名取「君とならやっていけそうだ」
 悠「は?」

 名取はある部屋の前に立ち止まった。
 名取「これから見る光景に君は驚くだろうなぁ、わくわくするねぇ」
 にやにやする名取

 そこは、本棚がぎっしり詰まった薄暗い書斎だった
 名取は一冊のファイルを俺に差し出してきた

 なんだこれ、ファイル?
 中を見ると
 俺が見たのは、犯人に殺害された被害者たちと思われる死体の写真集だった

 悠「あんたが殺したのか?」
 俺は冷静に聞いた
 名取「そうだよ、僕が犯人なんだ」
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