第11話:七郎が結婚?

文字数 1,735文字

 そうーだな、仕事ばかりでは、つまらない人生かも知れない。パートナーを探してみるかと、おどけて言った。するとマーガレットがそうして下さい、お父さんと言った。別れ際に、ジョージが、僕、日本に帰えらない。どうも、アメリカの方が、性に合うだと語った。七郎は、ジョージにどこで生活しても構わない、金に困らず、幸せに暮らせればそれで十分だと答えた。

 ジョージが、あー良かった、親父にそう言ってもらって、本当に安心したよと言い、シアトルへ帰って言った。その翌年、2006年、いつものように、七郎商会でロスチャイルドの経理情報を更新していた冬の晩の事、電話の応対をしている秘書の吉永恵子が、ちょっと複雑な顔つきで、バレンタイン・チョコをくれた。

 気になった七郎は、吉永さんどうしたのと聞くと、何でもないですと言うばかり。そこで、仕事を終えて食事に誘うと意外な事がわかった。吉永恵子さんは、大学を卒業し8年「29歳」、七郎商会に入社し秘書の仕事を続けている真面目な娘。この日は、食事をしてワインを飲んでいる時、突然、吉永さんが社長、私、両親のすすめで、最近見合いをさせられたんです。

 その人は、31歳、三菱財閥の御曹司で三菱商事の方です。フットボールをして流暢な英語で、海外でも大きな仕事をなさっているエリートらしいのです。ただ、初めて、お会いした時、全く好きなタイプ、むしろ嫌いなタイプ。鼻持ちならない気がして、駄目なんです。
「私は、いつもクールで、感情を表に出さなくて仕事のできる人が好きなんですと告白した」

「例えば、社長の様なタイプが大好きなんですと言うではないか」
「七郎は、困ってしまい、変なこと言うなよ」
「こんな、おじさんをつかまえて、からかうのも、いい加減にしろよと言った」
「すると、恵子は、こぼれそうな大粒の涙を浮かべてた」

「社長は、私のこと嫌いなんですねと、泣き始めた」
「いや、そんな事ないよ、むしろ、その逆さ、好きだよと言った」
「すると、ちょっと酔った様に、じゃー結婚して見合い相手から奪い取って下さいと告げた」
「これには、七郎は、目を白黒して、なんて言っていいかわからずに困った」

「さらに続けて、今日中に、決めてよねと言ってきた」
「そこで、吉永さん、今日は飲み過ぎだから家まで送るよと話した」
「タクシーをつかまえ送る途中、恵子が、ニューグランドの前で止めてと運転手に言った」

「ホテルの前で止まると、今日だけは、私の言う事を聞いてよねと言い放った」
「ついていくとホテルの部屋に入り最後のパーティーしようと言い始めた」
「その後、お酒を飲んで、吉永君と、1夜の契りを交わしてしまった」
「翌日の朝は、モーニングサービスを取ったが、2人とも、口数が少ない」

「成行での大きな出来事をした事に困惑したような感じだった」
「恵子は、この日から七郎商会でも社長と呼ばず七郎さんと呼び始めた」
「翌月の七郎の誕生日に。このホテルを予約し美味しい食事と楽しい夜を過ごした」
「吉永恵子は、敬虔なクリスチャンの両親の元で、生まれた」

「横浜の歴史ある貿易商の娘として育ち、近くに住む外人さんと遊んでいた」
「そのため英語の上手になり、両親が、横浜の外人学校に入学させた」
「しかし、小学校の3年の時、日本人の学校に転校したいと、突然言い、転校した」
「そして、フェリス中学に入りたいと家庭教師をつけての猛勉強で合格しフェリス女学園高等部へ進んだ」

「その後、上智大学外国語学部・英米学科に入学し、卒業と同時に七郎商会へ入社した」
 ある日、七郎が、外人学校の小学校に入ってのに、日本の学校に転校したのか、聞いてみると、好きな男の子がいて、告白したら、アジア人は、程度が悪い、日本人と言ってもアジア人であり、白人の方が良いし君の事も、あまり綺麗だと思わないと言われた。

 その話を聞きショックのあまり転校した。これを聞いて少し笑うと厳しい顔で、七郎さんも人種差別主義者なのと大声で叫んだ。違うよ、小学校3年生で、おませさんだなと思い笑っただけと言い返した。七郎も小さい頃から外人との付き合いが長いので、まれに、人種差別の強い、白人至上主義者がいた事は、知っていた。でも、そんな奴、結局、大成しないよと言い切った。
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