【第3話】鏃(やじり)。
文字数 1,940文字
(この作品は『仮面ライダーW』の二次創作作品です。実在の人物、事件等との関係はありません)
地響きのような鳴き声で『H』(ヒート)ドーパントが吠える。腕を震わし、無数の火球を飛ばしてくる。
『C』(サイクロン)パンチで追い込もうとするが、お生憎、奴は『炎』だ。『風』により強く燃え上がる。フィリップのパンチは『H』ドーパントを肥大化させるだけだった。
怯むΣライダーの下半身を上半身を扱うフィリップが叩く。指をドーパントへ向けて振り払う。
【C(サイクロン)マキシマムパンチ!】
『マキシマムドライブスロット』を叩いて、腕を後方へ振る。そこから怒涛のパンチを繰り出す。
心が怯む。だが、フィリップは目をチカチカと、おどけて笑ってくれた。
思わず頭をかき乱したくなるが今は仕事だ! ハードボイルドに決めて見せる!
炎の割けた視界に足を滑らす。そのしっかり根付いた足を大きく払った。
炎の割けた視界に足を滑らす。そのしっかり根付いた足を大きく払った。
巨大な炎(ドーパント)が駅舎を潰しながら倒れていく。
【C(サイクロン)パンチ】
【C(サイクロン)パンチ!】
【C(サイクロン)パンチ!!】
【C(サイクロン)パンチ!】
【C(サイクロン)パンチ!!】
フィリップ主導のパンチが倒れ起き上がれない敵へ無数に撃ち込まれていく。肥大に肥大を重ねて、ドーパントは弩級の大きさになった。――なるほど。
膨れに膨れたHドーパントは、肥大化の限界を超えて破裂(バースト)した。
俺たちはΣドライバの右側についた『マキシマムドライブスロット』へ【T2ジョーカーメモリ】を差し込み、――空を舞う。
俺たちはΣドライバの右側についた『マキシマムドライブスロット』へ【T2ジョーカーメモリ】を差し込み、――空を舞う。
【CJ(サイクロン・ジョーカー)マキシマム・シグマ(最高合算)!!】
剥きだしの人型になった『Hドーパント』へCとJのメモリの力を込めた『ライダーキック』を叩き込む。
激しい爆発。炎上した人間を、歩(あゆ)がすかさず抱き起こす。その体からあふれ出た1本の赤いメモリを回収する。指で回して俺たちへサムズアップを魅せつけた。
激しい爆発。炎上した人間を、歩(あゆ)がすかさず抱き起こす。その体からあふれ出た1本の赤いメモリを回収する。指で回して俺たちへサムズアップを魅せつけた。
変身を解き俺たちは2人へ戻る。フィリップはマフラーの上の顎をしきりにさすっていた。
ドーパントだった男は、きつく俺たちを睨みつけ、顔を歪めると高く笑い始めた。
指を突き付け言葉を飛ばすが、そいつはフィリップを睨みつけるだけだった。
だが数秒後、唾を吐きだし俺たちを見渡しながら語った。
だが数秒後、唾を吐きだし俺たちを見渡しながら語った。
『ククリコ遠藤』のマネージャー、その眉間に『炎の鏃』が突き刺さる。一瞬の出来事に俺もフィリップも反応が出来ない。走り寄って抱きかかえるが、すでにその体からは命の雫が漏れ落ちていた。
再び、そいつが息を吹き返すことは無かった。鏃の飛んできた方向を振り返るが、何処にも、何の痕跡も見受けられない。
亜樹子は悔しそうに下唇を噛むばかりだ。歩(あゆ)も「見ていない。」と首を振る。Hドーパントの暴走から皆逃げ去って、他には人の居ない状態だった。
――事件は、不可避な現実から始まり不可解な終わりを見せた――。
フィリップは顎に手をやり考え込む。亜樹子は泣き出した赤子をなだめていた。
歩(キーキャラ)は中天の太陽(そら)を眺め、汗を一つ伝わせていた。年不相応な苦々しい顔つきで。
フィリップは顎に手をやり考え込む。亜樹子は泣き出した赤子をなだめていた。
歩(キーキャラ)は中天の太陽(そら)を眺め、汗を一つ伝わせていた。年不相応な苦々しい顔つきで。