【第2話】風渡歩(かぜわたり あゆ)。

文字数 1,678文字

(この作品は『仮面ライダーW』の二次創作作品です。実在の人物、事件等との関係はありません) 

おい! 俺たち変身したぞ!
だから、そう言ってるじゃないか。いよいよ老化かい? 翔太郎。
俺たちを見下し嬢ちゃんが言う。日は夕闇へと姿を誤魔化そうとする。そんな時間が迫っていた。 
Σ(シグマ)は、W(ダブル)とはちょっと違うよ。翔太郎さん。
横に歪む光の中で嬢ちゃんは謳った。 
まず、縦に割れてない。横に割れる。
おいおい、オジちゃんをバカにすんのもいい加減に、ってほんとだ!
俺たちは上半身が緑色、下半身が黒色の1人の仮面ライダーに成っている。よく分からんが表彰ものだ。名も知らぬ御嬢さん。 
何か言った? ちなみに仮面ライダーΣ(シグマ)の必殺技は、上半身攻撃の『C(サイクロン)パンチ』と、
なるほどね。僕が主導でパンチの高速化。了解だよ。
フィリップがこの腕をぶんぶん、軽量級ボクサー宜しく、と振り回す。スウェーで上半身をのけ反らせ、って、お前、いつの間にこんな高等技術を! 
下半身攻撃の『J(ジョーカー)キック』だよ!
まぁいい。俺がキックで良かった。まぁ、パンチはフィリップ(あいつ)キックは俺、みたいな区分は前から在ったわけだし。
なるほど、下半身攻撃か。意味深だがまぁいい。H(ヒート)を『ブレイク』するぞ! フィリップ。
そ~れ~は、困るなぁ。御兄ちゃん達には、『メモリ』を『ブレイク』しないで、
嬢ちゃんが駅舎の脇を指差す。そこには『財団X』も持っていた、あのチタンのトランクが転がっていた。 
『コレクト』してもらうよ。これ、クライアント要求だから。はい、契約書。
うっそ。マジかよ!
亜樹子が駆け寄りそれを受け取る。その目が怯えた子猫ちゃん色をしてやがる。
翔太郎くん。これ、マジなやつだよ。B(○ンダイ)な認可も降りてる。
あの亜樹子が恐れる代物だ。それはマジなものなのだろう。殴られちゃいないが唇を拭ってあの子へ回答を申し込む。 
とにかく、俺たちはどうすればいいんだ? キックかパンチか? おい、嬢ちゃんどっちだ!
じゃあ、
嬢ちゃんは、小粋に『サムズダウン』を決めて見せた。
とりあえず、キックで。
シグマドライバのスロットを叩く。力を込めて空高く飛翔した。 
【J(ジョーカー)マキシマムキック!】 
急降下、叩きつけた爪先がドーパントに爪痕を残す。爆発後、その炎が弱弱しく揺らぐ、が奴の腰のメモリは未だ無事なままだった。
まあ、この程度で壊れる、あたしのメモリじゃないっての。
指を構えて問いただす。 
お前は一体何者だ? この街に、いったい何が起きてる?
あたし?
少女は語った。つかつか、とトランクの方へ歩み、その中を足蹴で示してみせた。 
あたしは風渡歩(かぜわたり あゆ)。女子高生科学者やってる。 
今、この世界にはFD(ファイナル・ダウン)が起きようとしているの。二度と来ない夜明けが。
トランクの中は空。だがメモリを仕舞う棚だけがご丁寧に揃っている。その3つ目を足先で叩いてみせた。 
そして、そのカギを握っているのが、『C』のメモリ。
俺の中でフィリップが問う。 
サイクロンかい?
ううん。あたしもまだ分からない。今、四方に手を尽くし探してるところ。
そんな中、H(ヒート)ドーパントが必死の形相で起き上がってきた。まぁ、ドーパントに顔があればそういう。って話だ。実際はチープな面持ちで体を震わせ起き上がってくるところだが。 
往生際が悪いな。そんなんじゃ女にもてないぜ? お兄ちゃん。
ぬるくキメテないでさっさと回収してよね! おっさんライダー!
お、おっさ、
声を詰まらす俺を押しのけ、声の主導権を相棒が奪う。右目が『チカチカ』と、まぁ、察してくれ。
じゃあ、『コレクト』と行こうか、翔太郎。その前にあれ、言っておこうじゃないか? 決まるものも決まらない。
お、おう!
慌てて応える。指を弾いて音を飛ばした。相棒と声を重ねる。俺たちが、心を一つにする瞬間(タイミング)だ。 
「「さあ、」」 
2人で1つの身体を以って俺たちは腕をしならせHドーパント(敵)へ指差した。 
「「お前の罪を数えろ!」」 
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登場人物紹介

左翔太郎(ひだり しょうたろう)。


30歳。男性。


【J】のガイアメモリを扱う風都の仮面ライダー。

半熟野郎(ハーフボイルド)だが、心に芯のあるモノを持っている。

サングラスを愛用し、整った顎髭が自慢。

歩に『おっさんライダー』と呼ばれている。


フィリップ(園咲来人)。


24歳。男性。


【C】のガイアメモリを扱う翔太郎の相棒。

地球(ほし)の本棚と呼ばれる情報の塊にアクセスする事が出来る、仮面ライダーWのブレイン。

融通が利かない性格だったが、アイドル業を経て、多少の冗談が言えるくらいには成長した。


風渡歩(かぜわたり あゆ)。


18歳。女性。


翔太郎の窮地に現れた謎の高校生。自称、科学者。

翔太郎とフィリップに、Σドライバを渡し、2人を最強の仮面ライダーΣに変身させた。


照井亜樹子(てるい あきこ)。


27歳。女性。


鳴海探偵事務所の所長。仮面ライダーアクセル・照井竜の妻。

翔太郎達の雇い主。今は2児の母として、次男、大河(たいが)の世話をしている。


クリムゾン。


19歳? 女性?


謎の少女。

【C】のガイアメモリを扱う。


歯車貞女(はぐるま さだめ)。


?歳。男性。


クリムゾンの仲間である謎の男。

クリムゾンに強く嫌悪されている。


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