三話・六頁

文字数 656文字

 俺はニヤリと笑うと、テロリスト
(こいつも名前を教えてくれない。危険な男だからみたいだ)に、本を鉄格子から差し込み渡した。

「頼まれ物です。先生が紹介したものです」

と言った。テロリストはまだ若い男だ。
俺とそう変わらないだろう。
20代後半と言ったところか。
奴はニヤリと笑うと、

「おっ立つ奴なら、良いんだけどな」

と言った。俺は苦笑いをした。
 これで、ここでの仕事は終わりだ。
俺はガラガラと台車を押して戻りながら。
長期刑の連中にエロ本を只で配って歩いた。な〜に、顧客管理ってやつさ。
地球じゃ、まったく売れない物だからな。
 監視室の前で立ち止まると、

「帰るのか?」

と看守が言って。
カートの後ろに積んだ本を見て。
箱に付いた電子リーダーに機械を当てた。
それで持ち出される物が直ぐに分かる仕組みだ

「問題無し。次は来月か?」

と聞くので、

「最近暇なんで、来週肥料と一緒に来ますよ」

と答えた。

「御苦労様」

看守はエロ本を見ながら、そう言った。
 俺は刑務所を立ち去り。残りの本を学校へと持っていった。
 学校は10代から、いやもっと子供から、
上は50代まで通う総合学校だ。
子供達の識字率を上げて。更に高等教育を受けさせる為の施設だ。
更に、それぞれ年齢別、能力別に教えたり、
教えられたりする為のものだ。
 だから各教室はバリエーションに富んだ年齢の人達が机を並べて勉強している。
特殊教室もある。技術職やコンピューター関係の教育を行っている教室もあるのだ。
飛び級は当たり前。
10代から年齢制限無しの教育機関だ。
 その地下室に、俺達のアジトがある。
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