二話、五頁

文字数 651文字

 地球の生物が、如何に月を目安に又は知らず知らずに、影響を受けているのか。
それを思い知らされる事となった。
 忙しい日々が続いた。
人間も影響が出だした。頭痛や、その他の内臓障害は月との因果関係が分からないままに、
多発した。
 特に女性は酷かった。
昔から言われていた事だ。人は満月に産まれて新月の日に息を引き取ると。
 そんな迷信が取り沙汰されていた。

 実際に私達にも明らかな影響が現れた。
それは、僅かだが精神を犯す程のものだった。
誰もが緩やかな鬱やら躁に成っていった。
精神安定剤が飛ぶ様に売れた。
気の所為とは、誰も思わなかった。

 だが!人は環境に順応出来る生き物だ!
科学者が、地球人は他の天体から来た一族かも知れない。などという、SF紛いの事をまことしやかに宣ったりもした。
 そして1年が過ぎた。
我々、地球生物は月の影響から離脱出来た。
我々は環境に順応出来たのだ。
まだ酷い病に苦しむ人もいたが、以前に比べれば少なくなっていた。

 そんなある日。
ナサが、三度重大発表を行なった。
その顔には悲壮感が漂っていた。
だが誰も月が無くなる程の大事件が起きるとは思っていなかったので、平然としていた。
 その発表とは。

 『月が太陽を回って、地球に向ってやって来ている』

との事だった。
 皆はやった、それで元に戻ると思った。
だが暗い顔の広報官は。
スピードが違い過ぎて地球の引力に捕らわれる事は無いと思えると言うのだ。
 更に、

 『地球に衝突するかも知れない』

と言った。

 終わり。


 平成29年6月3日初稿
 令和5年6月10日加筆修正。
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