6月28日(手術後説明)

文字数 829文字

6月28日
午前中は仕事をして昨晩説明時に先生に約束した通り、午前の就業を終え直ぐに病院に向かう。
しかし地下鉄に乗り携帯を確認するとLINEに『手術後の説明がもう始まる』との妻からの記載があった。手術が予定より早く終わった場合の事を考えて午前から始まった手術に合わせて妻にお願いして母に付き添って病院に行ってもらっていた。妻が付いていてくれて良かったと思う反面、説明が直接聞けない事に無念さを感じた。ただ昨日のうちにあらゆる可能性を既に説明されていたのであとは結果を聞くだけだからと考え直し緊張状態を保った。

病院に近い地下鉄の駅を降り、早歩きで病院に向かった。何とか最後の方だけでも直接先生の話を聞けたらと急いでいた。しかし病院の敷地に入る直前にLINEがあり、妻から説明が終わったとの知らせを受けた。

病院の中に入ると一階のロビーに隣接する椅子と机が並んだエリアで母と妻が待っていた。近づいて早速先生がどういった話をされたかを聞いた。妻がきちんとメモを取っており妻がそのメモを読む形で伝えてくれた。まず懸案だった腹膜播種については既にお腹の中にばらまかれた状況で改めて根治出来ない事、またステージⅣである事の宣告を受けたという事だった。ただ、胃と小腸をつなぐバイパスの手術はなされたという事で今後二週間程度後に一旦退院し、三週間後に外来で病院に来て説明を受けていた飲み薬の抗癌剤の投与が可能か見定めるという事であった。さらに改めてその抗癌剤治療も身体への負担が大きいという説明もあったそうである。
繰り返しになるが既に説明を受けていた事で驚きは無かった。ただいよいよ家族として覚悟をしなければならないという切迫感を感じていた。

病院を出て、近くの日本食の定食屋で昼食をとった。どうしても明るい話題にはならず、他愛無い話を繋ぎながら昼食を食べた。小雨の降る中、バスを乗り継いで家に帰ると昨晩夜中三時に目が覚めその後なかなか眠れなかった事もあり、布団の中に潜り込んだ。
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