11月18日(付き添い)

文字数 941文字

 今、父が病院のベッドに横たわる病室でキーボードを叩いています。ホスピスの病院に入院してから色々な事があった。一番大きな事は私がコロナにかかってしまった事だ。タイミングが悪いとしか言いようがないが、父が外泊とはいかないまでも外出が出来るぎりぎりの体調の時に私はコロナで寝室に隔離されている状況だった。10月31日に発症してから咳が取れなかった事から病院に再び見舞いに行けたのは11月16日の水曜日だった。
 父の容態は当たり前だが悪化していた。10月26日に会った時には、声こそ出しづらそうではあったが普通に会話もできたし、意思の疎通が完全にできていた。しかし11月16日に会った際には短い言葉を少し話すと疲れてしまい力のない声が私たちに伝わらないと話すを止めてしまった。
 そんな中での父の言葉が胸に刺さった。
「もう眠りたい。言っている意味わかるな。看護師さんに言ってくれ。」

 その後、医療スタッフから話がしたいと言われ別室に呼ばれた。内容としては本人の希望もあり、痛みを和らげるために薬を強くする事も出来ますが、意思疎通がより難しくなるが家族としてはどう判断するか。というものだった。私からは「安易に薬を強くすることは望みません。ただ痛みがあるのなら、その痛みに対して必要十分な薬の投与はお願いします。」と答えました。

 それからは父の容態は更に悪化しました。昨日11月17日午後、昨日会ったばかりでしたが病院から〝血圧が下がり、予断を許さない状況になった〟と連絡が入り、私は病院に向かいました。そこにいた父は既に意思疎通が難しい状況になっていました。ただ、急に声にならない〝アリガトウ〟と共に拝むゼスチャーをしたり。まだ十分父からは『生』を感じることが出来ました。

 そして今日、病院の勧めもあって24時間の付添を行っている最中です。あっ、今、日が変わりました。11月19日になりました。父の状態は更に悪くなりました。一番感じるのは呼吸が乱れている事です。酸素は鼻から呼吸が少しでも楽になるように処置してくれているのですが、無呼吸になる時間があります。その度にベッド脇にいる私は気が気ではなく、父の手を握って摩っています。

 夜明けまでまで6時間ぐらいでしょうか。長い夜になりそうです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み