国ごと……または全人類が滅ぶまで……終らざしり物語

文字数 734文字

 我が党は危機を乗り切った。
 (みそぎ)は済まされた。
 次の国政選挙まで、例え、総理大臣が白昼堂々と大都会のド真ん中で人を殺して、それが何百人もの人間に目撃されたとしても、我が党が政権与党である事は揺がない。
 我が党の政策は着実に実行され……政府が出した法案は全て成立し……どんな不祥事が起きても政権交代は絶対に起きない。
 だが、困った。
 政治には金がかかる。
 それも……皮肉にも、我が党が安泰であればあるほど……。
 例えば、公職選挙法の規制の範囲外の党内の幹部の選挙。
 例えば、1つの中選挙区に我が党の候補が複数立つ場合。
 野党が、もう少し、しゃんとしてくれていたら……奴らが、いつ我々から政権を奪うか判らない状況であってくれた時こそ、逆に我が党は金をバラ撒く必要など無くなる。
 しかし、我が党は安泰だ。
 野党が、いつ、政権を我々から奪うか知れたものではない状況だと……党内の内紛など、やっている余裕は無い。
 安泰だから、内紛も起きる。そして、野党との戦いより、党内の内紛の方が金がかかる。
 だが……困った。
 党の県支部の支部長選挙……相手は総理の派閥で、私は、非主流派の派閥だ。
 相手には、官房機密費が渡っているようだ……県内の県議会議員や市町村議会議員に金をバラ撒いている。
 このままでは……勝てない。
 最後の手だ……。
 ネット上の都市伝説を信じてみるか……。
 あの……「相手を呪い殺せる画像」の……。
 幸いにも、私の知識でも……何とか……ん?
 気のせいか?
 パソコンの画面に表示されている呪いの呪符の画像の中の……ウチの家紋の「組合せ井筒」を思わせる図形が、一瞬だけ赤く光ったように……。
 何だ?
 停電か?
 変だな。
 夏なのに、妙に肌寒いし……この変な臭いは……一体?
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