各話あらすじver4
文字数 10,435文字
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※簡易あらすじです。プロットではありません。
※4/7 修正。大きな修正箇所は青色表示してあります。
※4/9 4章のスイーツ変更。
※4/10 2章にブレンドコーヒー、4章にフルーツ厳選を追加。
※5章のスイーツ、キャラクターイラストに合わせて変更する可能性あり。
※4/13 3章にカレーの話追加。大切なことに気づくきっかけ。
5章に「人は自分にしかなれない」という話に修正。
※4/14 冒頭追加。
1章の「パフォーマンス」はやる意味がないので、「ホットケーキ作り」に変更。
※5/3微修正。
各話簡易あらすじ
⋆✭第1章スイーツは笑顔の魔法✭⋆
フランは15歳の女の子。両親が仕事の都合で海外へ行くため、従姉妹であるメルシィお姉ちゃんの家へやってきます。
そこは、「水とスイーツの都メルクリウス」。たくさんの水路とゴンドラが街を流れ、中央には絶えず水を流し続ける大木「ウンディーネの木」があります。
メルシィお姉ちゃんは、個人でスイーツショップ「メルシィクラウン」を経営しています。自宅でもあるお店へやってきたフランは、弟子入りしている下宿人のショーコと出会いました。
メルシィお姉ちゃんは、フランに"ショーコの配達"に同行するよう言いました。配達はゴンドラに乗り行うため、自然と街を見て回ることにもなるからでした。
フランは配達のお手伝いをしようと思いましたが、好奇心旺盛で人懐っこい彼女は、会う人会う人に声をかけどんどん仲良くなっていきます。
ショーコは、そんなフランのコミュ力を凄いと感じながらも、寄り道ばかりの彼女に呆れて。
どうして知らない人と気軽に話せるのか、ショーコは訊ねます。
「私って、笑顔が好きなんだ」
フランは答えました。自分もみんなも笑顔だと、心がぽかぽかして楽しくなるのだそうです。
配達の途中、フランはショーコからある話を聞きました。
・この街はスイーツで有名なこと
・年一回決められるパティシエールの頂点、クイーンパティシエールがいるということ
・それはメルシィお姉ちゃんで、5年連続クイーンだということ
※この街はスイーツの中心、ショーコはメルシィお姉ちゃんを尊敬、協会のサイトのコメントを自慢気に魅せてメルシィお姉ちゃんを語るショーコ、などもいれます。
従姉妹なのに何も知らなかったフランに、またまた呆れるショーコ。クイーンパティシエールは、審査員と一般人による投票で決定し、大会や店の成績・売上、知名度や人気などが重要なのだそうです。
ショーコは自分も大会経験者で、幼い頃からスイーツを学んできたと話します。けれどフランは思いました。スイーツって、競うものなのかなぁ、と。
※この街では酪農や果物が盛ん、などの話もさらっと出します。
フ「だからいっぱいスイーツのお店があるんだねぇ」
シ「そんなことも知らないで、このまちに来たんですか」
フ「えへへ、勉強って苦手で」(街に来た理由。両親のこととか話す)
シ「言っておきますが、世界の常識ですよ」
「メルシィクラウン」は人気店ですが、個人店です。こじんまりとしていて、二階の居住スペースもあまり広くはありません。フランとショーコは一緒にお風呂に入り、同じ部屋で眠ることになりました。ベッドは別々でしたが、抱き枕がないと眠れないのに忘れてきたと言うフラン。仕方なく、ショーコは一緒に寝てあげます。しかしフランの寝相は最悪でした。
二日目。今日はいつもよりお客さんが多く、見習いのショーコも大忙し。フランもレジを手伝います。ひと段落つき遅めのお昼になりますが、まだまだ列はあります。並んでいる人達が退屈しているのを見て、フランはメルシィお姉ちゃんの許可を得て、ホットケーキを焼くことにしました。料亭の娘であるフランは、お菓子作りこそ素人ですが、ホットケーキくらいなら上手に作れるのです。
その場でイラストつきのホットケーキをつくり、並んでいるお客さんたちを楽しませることに成功します。
そして、お客さんたちはメルシィお姉ちゃんのスイーツを食べてもっと笑顔になるのです。
みんなを楽しく笑顔にさせるスイーツ。温かいものに包まれたお店は、とってもステキなものに感じられて。
そんなフランに、メルシィお姉ちゃんは言いました。
「フランちゃんもスイーツを作って、みんなを笑顔にしてみませんか?」
フランはみんなの笑顔が大好きで、誰かの笑顔を見ると自分も幸せになれるタイプです。けれど、料理の心得はあっても、スイーツ作りは素人。
「私は食べるの専門だから」
フランは断るのでした。
その夜。3人はバルコニーでバーベキューをしました。飲み物はレインボーソーダ。しかし、液体は透明です。
「どうしてレインボーっていうの?」
フランの問いに、メルシィお姉ちゃんは見せてくれます。
どこからともなくやってくる、7色の光を放つホタルたち。夏になると現れるその光を透かし、レインボーに煌めくソーダのグラス。それをスイーツと一緒にぐいっと飲み干すのが、この街での夏の始まり方なのだそうです。
どこの家のバルコニーでも、見下ろす広場でも、人々はソーダとスイーツを口にして、笑顔になっています。
笑顔に包まれて、幸せな気分になるフラン。
メルシィお姉ちゃんはもう一度言いました。
「この温かい幸せをたくさん増やせたら、もっと素敵だと思いませんか?」
スイーツなら、それが出来る。だってこの街は、スイーツの街だから。
「フランちゃん、知ってましたか? スイーツは笑顔の魔法なんです」
メルシィお姉ちゃんは微笑ます。
ショーコもまた、誰とでもすぐ打ち解け笑顔の花を咲かせたフランには、パティシエールの素質があると認めます。
それでも、自分に出来るかどうか不安になるフラン。そこでメルシィお姉ちゃんは、自分がパティシエールになろうと思ったきっかけを話します。
(5章でくわしく触れるので、ここでは「スイーツ作りが好きだから」「好きなことである人を笑顔にできたのが嬉しかったから」とだけ話します)
フランも小さい頃、メルシィお姉ちゃんのスイーツで笑顔になったことがありました。それを思い出したフランは、思います。
あの時の自分みたいに、誰かを幸せにできるのだとしたら、それはきっと素敵なことです。そして、自分を笑顔にしてくれたメルシィお姉ちゃんの笑顔も輝いていました。だから、私もメルシィお姉ちゃんみたいになりたい。
2人に背中を押されて、フランは決めました。
「私、パティシエールやってみる!」
※「メルシィクラウン」の人気スイーツは王冠型のスイーツ。
※一番最初のフランが街にやってきたシーンで、フルーツを使ったスイーツショップが多いことを描写する?
⋆✭第2章ゴシックブラウニーの気遣いスイーツ✭⋆
「メルシィクラウン」の朝は早い。
早朝からお店にスイーツを並べて、焼き菓子の仕込みを行います。10時には開店し、メルシィお姉ちゃんはレジへ移動。まだ忙しくない午前の間は、フランとショーコが厨房でスイーツ作りの特訓をします。
お昼頃にはお客さんが増え始め、接客をお手伝い。落ち着いた頃には商品の補充を行い、地元農家さんのゴンドラが食材を届けに来ます。
15時。遅めのお昼です。
メルシィお姉ちゃんは、最近始めたスイーツの配達にまた2人を行かせます。
夕方にはメインの客層である10代20代の女の子が増えるので、それまでに終わらせるのが理想なのです。お昼ご飯を食べながら、ゴンドラで配達するフランとショーコ。けれど、ゴンドラが揺れすぎたせいで、スイーツを崩してしまいます。
メルシィお姉ちゃんに電話すると、気にしないでいいと新しいスイーツを用意してくれましたが、フランとショーコは落ち込んでしまい。
そこに現れたのは、メルシィお姉ちゃんの友人だという女の子ミントでした。年齢はフランとショーコと同じ15歳。超大手スイーツ店「ゴシックブラウニー」社長の娘だそうです。
※ショーコ、ミントが知り合いであること。フランがミントと友達になるシーン。などを入れます。
ミントは言いました。
「メル姉は超一流のパティシエールだが、配達をはじめたのは最近だからな。配達に関しては私の方が詳しい。いいか? お前たちのスイーツは配達に適していないんだ」
※メルシィお姉ちゃんを尊敬するショーコは、配達の失敗が自分のせいだと考えてしまいます。それを受け、ミントは「そんなことはない」と以下の説明をします。
揺れるゴンドラでの配達。それに適したスイーツは、崩れにくく運びやすいカップ系のスイーツだと言います。
そこでフランとショーコは、ミントに連れられ「ゴシックブラウニー」を訪問。勉強させてもらうことにしました。
※「メルシィクラウン」「ゴシックブラウニー」「ワンダーアラモード」は3大スイーツショップという話、ショーコの姉についても軽く触れます。なお、ショーコはフルーツに関するスキルを捨て、メルシィ姉さんの作るスイーツを目指すことにしたと言いますが、フランにはそれがもったいないことに思えます。
「ゴシックブラウニー」は、チョコやコーヒーなどを使ったブラウン系のほろ苦スイーツ。あるいはミントを使ったクール系スイーツ。といったものを扱う、かっこいいスイーツをテーマにしたお店です。
そこでミントは修行を積み、いつか自分のスイーツブランドを立ち上げるのだそうです。
店を継ぐのではなく、理想のスイーツを作るため、自分だけのブランドを立ち上げたいからとのこと。
ショーコはクイーンパティシエールを目指していると言います。実家が小さなケーキ屋で、幼い頃からスイーツ作りをしてきたショーコ。自分にはこれしかないし、スイーツ作りが好きだから他の仕事はしたくないのだといいます。
※2人はクイーンパティシエールになるのは私だ! という風に張り合います。(ギスギスはしない、友達同士です)
では、フランは何故スイーツを作るのか。笑顔が見たいから? ほかの2人に比べてなんだか曖昧だなぁ、と思うフラン。
カップの中で完成された配達用ケーキ。
お店で買えるケーキ。
2つをわけた手法に関心するフランとショーコ。と、そこへいちゃもんをつけるお客さんが現れました。むっとしたショーコでしたが、フランは笑顔で接して、そのお客さんも笑顔に変えてしまいました。
※「ゴシックブラウニー」の特性コーヒーケーキは、独自の技術でブレンドしたコーヒーを使用。
スイーツは気遣い、気配り。
ショーケースへの並べ方から細かいサービスまで、気遣いがものを言う。そう教えられてきたミントは、つい最近見習いになったばかりだというフランの対応を見て、関心しました。
この件がきっかけで2人に興味を覚えたミントは、改めてフランによろしくと言います。
「メルシィクラウン」に帰ると、もう夜です。遅くなったことを謝るフランとショーコでしたが、メルシィは「素敵な発見でもあったのでしょうか?」とニコニコ。フランは配達スイーツについて提案します。あっさりとOKが出たので、ショーコは逆に不安です。
メルシィお姉ちゃんは楽しいことが大好きです。そして、誰かを笑顔にさせるためには自分が笑顔にならなければいけない、とも考えています。だから、フランとショーコが面白そうなことを始めるというのなら、それを応援し、一緒に楽しみたいのです。
メルシィお姉ちゃんは配達スイーツ案をOKするかわりに、メニューを自分たちで考えるよう言います。
こうして、フランとショーコの案により「メルシィクラウン」にも配達専用スイーツが登場しました。
イチゴや生クリームを使った可愛さ重視の配達スイーツなのでした。
⋆✭第3章アモーレカントゥチーニと初恋スイーツ✭⋆
「メルシィクラウン」では、前日の夕方から翌日のスイーツの仕込みを行います。そのタイミングでフランとショーコはスイーツ作りの特訓を行い、夜には本でお勉強。
そんなある日、ある女性のお客さんがスイーツの特注をしたいとやってきました。しかし、メルシィお姉ちゃんは忙しく。
見習いであるフランとショーコのスイーツを見て、2人にならお願い出来ないかと訊ねるお客さん。
フランとショーコははじめての依頼にやる気満々です。
「スイーツ作りにおいて、大切なことは?」
メルシィお姉ちゃんの問いに、フランとショーコは答えます。
「笑顔と安全。それに、気遣い」
答えに頷いたメルシィお姉ちゃんは、格安で依頼を引き受けることにしました。
フランは聞き上手です。依頼人から話を聞き出し、すぐに友だちになって連絡先まで交換します。フランが聞き出したところによると。
初恋の相手に送るイチゴのスイーツを作って欲しい。
それが依頼内容です。
なぜスイーツを送るのだろうと思うフランでしたが、ショーコは言います。
「この街にはアモーレカントゥチーニといって、愛する人への告白にスイーツを送るという風習があるんです」
もともとはカントゥチーニを送る風習だったそうですが、今ではどんなスイーツでもOKになっているそうです。
素敵だなぁと思いながら、作業に入るフラン。
しかし、最初に出来上がったスイーツには、依頼人が顔を曇らせて。
なにがいけないんだろう? と思うショーコ。
メルシィお姉ちゃんは言いました。
「スイーツに同じものはないんですよ」
意味がわからないと思うショーコでしたが、フランは考え込みます。
その夜、メルシィお姉ちゃんの用意した夕食はカレーでした。同じカレーなのに、なぜか鍋は2つあります。どうしてなのか訊ねると、メルシィお姉ちゃんは答えてくれます。
少し辛めのカレーが好きなフランと、辛いのが苦手なショーコ。2人に合わせて、ちょっぴり違うカレーなのだと。
同じカレーでも、同じじゃない。フランは気づきます。スイーツもこれと同じなのだと。
スイーツは気遣いです。
フランは考えました。相手のことを知り、その人のための世界にひとつだけのスイーツを作らないといけないのかも、と。
そこでフランとショーコは、依頼人にお願いして職場を見学させてもらうことにします。面白そうたから、とミントもついてきます。
依頼人のお姉さんの職場は図書館でした。
初恋の人というのも、同じ図書館で働く女性でした。
観察中にすぐ知らない人と打ち解け、集中しないフランに呆れるショーコ、ミント。
いろいろありつつも、2人のことを知ることに成功します。
次にフランとショーコが作ったのは、初恋をイメージした甘酸っぱいイチゴムースです。上に乗っているのは、依頼人と初恋相手の共通点である、本です。本はホワイトチョコでコーティングしたプレッツェルを使用。さらに、リボン型のイチゴチョコも添えます。
※産地、種類、農家が変わればスイーツの味は変わる。ショーコは”初恋”というテーマに合う苺を知り合いから用意します。
完成したスイーツに依頼人は大喜び。
フラン、 ショーコ、ミントが見守る中、依頼人は図書館へ赴きスイーツで告白。見事結ばれました。
自分のスイーツで人を幸せにさせた。フランとショーコも幸せを感じました。
※見守るのは、依頼人にお願いされてのこと。告白成功後、依頼人と告白相手から感謝されます。
帰宅すると、メルシィお姉ちゃんが「初仕事お疲れ様」と言ってくれます。成功したことを報告すると、メルシィお姉ちゃんはお祝いとしてマカロンパーティーを開いてくれるのでした。
⋆✭第4章ドルチェ・フルッタ・プリンチペッサ✭⋆
「メルシィクラウン」には週一回の定休日があります。けれど、今日は臨時休業。頑張っているフランとショーコのために、メルシィお姉ちゃんはお祭りへ連れてきてくれます。
それは、「ウンディーネ祭」。街の水路を作るウンディーネの木に感謝するためのお祭りです。広場にはたくさんの出店があり、ミントも加わり4人はスイーツを楽しみます。
※抹茶スイーツ、香辛料スイーツなど、いろいろ出てきます。
だけど、こんな日こそ稼ぎどきなのでは?
と思うフランでしたが、メルシィお姉ちゃんは言います。
「たまには遊ぶのも大切です。それに、たくさんの出店が出る今日は、他店のスイーツを勉強するチャンスですよ」
なので、メルシィお姉ちゃんに目一杯奢ってもらうフラン、ショーコ、ミント。
フランはステキな路地裏を見つけ、ショーコ、ミントと一緒に入っていきます。不思議な扉を開けると、そこは世にも不思議なポップの王国。
フルーツの兵隊さんと、彼らを従えるカラフルなドレス姿のお姫様。素敵な世界に瞳を輝かせるフランたち。
そして今日は、お姫様のバースデーだそうです。
だけど困ったことに、パティシエが怪我をしてしまい誕生日ケーキが作れません。困っている兵隊さんたちのために、フラン、ショーコ、ミントはスイーツ作りを決めました。
お姫様から要望を聞いて、作ったのはポップなフルーツスイーツ。
からふるなフルーツグミに囲まれて、そびえ建つのは柚子羊羹とメロン生クリームモンブランのお城。てっぺんにはお砂糖で作ったお姫様の人形。城の周りには、チョコやクッキーで再現した兵隊さんたちも。紅茶もつければ、ポップ王国のフルーツプリンセスセットが完成です。
※フルーツ担当はショーコ、チョコ系はミント、その他はフラン。
※柚子羊羹の上にメロン生クリームのモンブラン(栗未使用)を乗せ、さらに天辺に人形を立たせる感じです。お城っぽくはないかも?
※フルーツグミは、フルーツからジュースを作り、ゼラチンと混ぜて固めた後、ハートや星の形にくり抜いたものです。ドライフルーツを中に閉じ込め、キラキラ光っている感じになります。
大喜びのお姫様は、フランたちに感謝の指輪を送りました。
しかし、気がつくと3人はベンチで眠っていました。メルシィお姉ちゃんに起こされ、夢だった?
と思う3人でしたが、薬指には指輪がありました。
「夢じゃなかったんだね!」
顔を見合わせ笑うフランたち。メルシィお姉ちゃんは首を傾げます。
夜になり、4人は水上バスの上から花火を見上げます。
「たーまやー!」
「フランさん、なんですかそれ?」
「ショーコちゃん。これはね、私の故郷で花火を見るときに言う言葉なんだよ」
4人はたまやと叫び、夏の思い出を胸に刻みました。
✭⋆第5章私がスイーツをつくる理由✭⋆(ショコラルート)
サマースイーツプリンセス大会(見習い限定)が告知されました。
「ウンディーネの木」の下で行う、年に一度の夏のスイーツを使った大会です。経験のためにも出てみることになったフランたち。
なんでも、この大会では3人までのユニットを組んで出場するのもOKだそうです。
そこで、フラン、ショーコ、ミントはユニットを組みました。
ユニット名はどうする?
あれこれ考えた末、3人で笑顔を作るという意味を込め、「ハッピー☆トリニティ」に決定します。
さて、夏らしいフルーツとは?
まずは夏のイメージを固めようとするも
・海で釣り
・山でキャンプ
・かき氷とアイス
と、意見はバラバラ。
「みんな体験してみてはどうでしょう?」
メルシィお姉ちゃんが言うので、フランたちは海や山にでかけ、アイスを食べたり釣りをしたり、カレーを作ったりしました。
どれも素敵という結論に落ち着くも、これでは遊んでいるだけです。
そんな中、ショーコのもとに一通の手紙が届きました。その日を境に、「こんなスイーツではダメです」と焦り始めるショーコ。フランは彼女を抱きしめ、ちゃんと自分たちも本気であること、1人で突っ走らないで相談して欲しいことを伝えます。
「ショーコちゃん、なにがあったの?」
「実は……」
手紙によると、ショーコの実家であるスイーツショップが、経営難で営業をやめるというのです。いくらスイーツの街にあるといっても、ショーコの実家は外れにある裏通り。たくさんのスイーツショップが存在する激戦区では、生き残るのが難しかったのです。
生まれ育ち、スイーツを学んだお店。それを失わせたくないショーコは、自分が実績を作ることで客を呼ぼうと考えました。それは、「メルシィクラウン」をやめ実家で働くということ。
「姉さんに頼れないのか?」
ミント言いますが、姉には姉の立場があり、忙しいのでそんな余裕はないだろうと言います。だから、自分がやるしかないのだと。
フランはショーコのためにも、絶対にこのイベントで勝とうと決心しました。
とはいえ、どんなスイーツを作ればいいのやら。
「フランちゃんはどんなパティシエールになりたいの?」
お姉ちゃんみたいなパティシエールになりたい。そう答えたフランに、メルシィお姉ちゃんは言います。
「人は自分にしかなれないんです」
かつてはメルシィお姉ちゃんも、プロのパティシエールを見て、そうなりたいと思ったことがあったそうです。
そもそものきっかけは、メルシィお姉ちゃんが子供の頃、友達に誘われてスイーツ作りを始めたそうです。
自分の手で美味しいスイーツを作り、工夫次第でいくらでも可愛くすることが出来る。
そんな世界にハマり、友達がスイーツ作りをやめた後も勉強し続けて。19歳の頃に最年少クイーンパティシエールになりました。
その後20歳で自分の店を建て、23歳になった今もクイーンパティシエールの座を守り続けている天才です。
メルシィお姉ちゃんは世界が注目するパティシエールですが、地元と地元の人々を愛しているため、この街から出ていくつもりはないのだそうです。
そんなメルシィお姉ちゃんがスイーツを作り続ける理由は、シンプルでした。
「スイーツが大好きで、スイーツ作りも大好きだからです」
大好きを共有して、大好きなことで誰かを笑顔にできたら嬉しいから。
実は、フランがメルシィお姉ちゃんのスイーツで笑顔になったように、”フランが笑顔になったこと”がメルシィお姉ちゃんの笑顔に繋がっていたのです。
「あの時フランちゃんが笑ってくれたから、私はプロのパティシエールになろうと決心したんですよ」
そしてその時、メルシィお姉ちゃんは自分が描くパティシエール像を見つけたのだそうです。
その夜、フランは考えて考えて、答えにたどり着きます。
「やっぱり私はみんなの笑顔が好きだからスイーツを作るんだ」
そのために自分の出来ることは、スイーツ作りだから。
みんなを笑顔にするスイーツを作りたいんだ。
※お姉ちゃんみたいになりたいという想いは変わらりません。けれど、「スイーツ作りが好き、が一番に来るお姉ちゃん」「笑顔のため、一番にくるフラン」。同じ”笑顔の魔法”でも、フランとメルシィお姉ちゃんがスイーツを作る理由は少し違います。
翌日、フランは提案しました。
「誰かを笑顔にするには、まず私たちが笑顔じゃないとダメだよね」
「だから、私たち3人が私たちらしく笑顔になれる、そんなスイーツを作ろう!」
テーマは、みんなの笑顔。
それが「ハッピー☆トリニティ」の作るスイーツです。
フラン、ショーコ、ミントはそれぞれの描く夏のイメージを融合させ、視覚でも楽しめる夏のスイーツを考案します。
出来上がったのは、「笑顔のサマーカレースイーツ」でした。
・ライスをかたどるホワイトチョコ
・カレーをイメージするコーヒークリーム
・夏らしい桃のソフトクリームを乗せ
・海をイメージするたい焼きを添えて
※ショーコはフランに言われて、メルシィお姉ちゃんへの弟子入りの際に捨てた、”フルーツの目利き等”を取り入れます。「メルシィクラウン」として参加するわけではないので、ポップな要素も使えるからです。
イベント当日。
売れ行きのよろしくない「ハッピー☆トリニティ」でしたが、そこへ“フランがこれまで関わってきた人たち”が駆けつけてくれます。
あっという間にSNSで拡散され、盛り上がる「笑顔のサマーカレースイーツ」。
ショーコの両親も来ます。両親は「お前はお前のしたいことをやれ」と言いますが、ショーコは両親と実家のために、「メルシィクラウン」をやめるつもりでした。
結果、「ハッピー☆トリニティ」は優勝しました。クイーンパティシエール協会に写真も撮られましたし、たくさんの笑顔に囲まれ3人は幸せでした。
けれど、「メルシィクラウン」に帰ってみると。なんとショーコの実家のお店は、あの後大繁盛しはじめたのだそうです。「ワンダーアラモード」を経営している姉が、実家でありスイーツのノウハウを学んだ店として紹介したのです。
姉にしてやられたことを、ショーコは悔しく思います。けれど、フランが泣きながら「良かったね」と言ってくれたので、釣られて泣いてしまいます。
実家を守れましたし、これで「メルティクラウン」を出ていく必要もなくなりました。
けれど、ショーコには姉を超えるという新しい目標もできました。
フランは言いました。
「私たち3人でクイーンパティシエールになろうよ」
3人でなるというのは事例のないことでした。しかし、トップは1人というルールもありません。ショーコとミントは頷き、「ハッピー☆トリニティ」をブランド化・お店にすることを決意しました。
「いつかプロのパティシエールになって、3人でもっと多くの人を笑顔にしようね!」
夢に向かって、燃える一同でした。