第5話

文字数 445文字

 「済みません…来て下さい」
 その時、一つしか無い扉が開いて、痩せた、若い人間の男が、呼び掛けてきた。

 部屋の中は、様々に飾られ、磨かれていた。
 「セトの海」を渡ってもたらされて来た、様々な文様が編み込まれた厚手の絨毯も、引かれていた。
 片方の壁の近くに、客人用と判る、かなり飾り立てられた木彫りの椅子が有って、地味ではあるが、金が掛けられていそうな衣服に身を包んだ、肩近くまで伸びた金髪の人間の男が、腰掛けていた。

 かなり背が高いのが、座っていても見て取れた…何とはなく、伏し目気味だった。
 整った、はっきりした目鼻立ちで、難しい事を考えているかの様な、結んだ口元をしていた。
 腰の剣は、飾り立てられた鞘に納められていた。
 その脇には、筋肉質だが小柄の、短い黒髪の人間の男が、立っていた。


 部屋に居た三人目は、ゆったりとした、色合いがやや派手な衣に身を包んだエルフの男だった。
 人間二人から少し離れて立ち、二つ有る扉の片方を見ていた。
 扉が、開けられた。

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