第4話

文字数 455文字

 「やっぱり…こっちに来るんじゃ無かったかな?」

 小柄な黒髪の男の、一ヶ所だけ特徴的な所とは、その目であった。
 左目の方だけ、黒目に当たる部分がかなり鮮やかな、赤色をしていた。

 …と聞くと、かなり、奇怪な顔付きを想像するかもしれないが、意外に自然で、全体の印象は大人しいままだった。
 単純に、変な怪我でもしたのかと心配される事も多かった。
 ただ、横顔で、右目だけが見えていると穏やかそうな印象なのが、左目だけが見えていると案外、性格が激しそうな顔付きに見えるという事は、有った。

 格好の方で一つだけ特徴的な事とは、その手だった…両手に、革と金属が組合わさった手甲を着けていた。
 無論、着けて悪い事は無いのだが、他に鎧は身に着けておらず、手だけ、というのは奇妙ではあった。
 指を動かし使うのに支障は、無さそうだったが…。

 形や、良く見ると、表面のあちこちに何やら刻まれている紋様やらで、しかるべき知識、もしくはしかるべき力を持った者には、ただ防具という話で無いのが、見て取れた筈である。
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