第3話

文字数 485文字

 その「口入れ屋」は、「第三市場」の近くの、二~三階建ての建物が密集した一画に、有った…因みに、ややこしい事には、「第一市場」は存在していなくて、実際上「第一」に相当する、中央市場と言うべき場所が「第二市場」であり、二番手なのが此の「第三市場」だった。

 「みんな、ごめん!」
 黒髪の、やや小柄な人間の男だった。
 質素だが動き易そうな服を、着ていた…一点を除きさほど、特徴的な顔立ちでは無かったが、穏やかで優しそうな雰囲気が有った。
 危険に飛び込む職業をしている筈の身としては、変わっているとも言えた。
 格好にも一点だけ、特徴が有った。

 口入れ屋は、建ち並ぶ三階建ての建物の一つの、一階に入っていた。
 二、三階には別の居住者が、居る様だった。

 四人が居るのは、建物の奥の、資料やら用具やらがしまわれた、薄暗い部屋だった。 
 椅子も無く、そもそも人が時間を過ごす事など、考慮されてはいない場所だったが、それなりの時間を、待たされていた。
 そういった辺りが、此の口入れ屋が、仕事を受けとる立場の者達の間で評判が、今一つな理由であった…。


 

 
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