第7話

文字数 439文字

 旅芸人の一座、と言われても一瞬、納得しそうな感じが有った。
 「優秀ですよ!」
 派手な衣を着たエルフは、室内に流れた空気を無視して、二人の人間に呼び掛けた。
 「腕は、立ちます…全幅の信頼を、私は置いてます」

 椅子の脇に立っている方の男が口を開こうとした時、座っていた男が、制する様に立ち上がった。
 やはり、背が高かった。
 「イアリス・ヴァルベインです」
 軽く、頭を下げた。
 「宜しく、お願いする…皆さんの名前を、お聞きしたい」
 明らかに、かなり上の身分である依頼主が、傭兵に名前を尋ねて来るというのは、珍しかった。

 「タルト・フロマージュです」
 片目が赤い、人間の男が答えて頭を下げた。
 「シフォン・イリリアです」
 「クリーム・ホイップですわ」
 前者は、エルフの男の答であり、後者は、女戦士だった。
 「カイ・アンバーエールです」
 ドワーフの男が、答えた。
 それぞれ、答えながら順番に頭を下げていったが、印象的にはやはり、旅芸人の様だった。
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