第14話

文字数 999文字

そこには、タコさんウインナー、唐揚げ、玉子焼き、ポテトサラダが綺麗に盛り付けされていた。
失敗作なんてものは一切なく、見た目からして、どれも食欲をそそる。

それを見て、パキッと心が折れる音がしたのはいうまでもない。それと同時に「このままではいけない」と、女としての危機感を感じた。

こんなにも女子力の高いお弁当見たことない。しかも、それが男の子(好きな人)だなんて。

それでいて、アカリちゃんは料理が苦手。メモメモ。これなら、勝てるかもしれない。まずは、料理を覚えようと決めた私であった。

「あ、ごめんね、お弁当箱返すよ」

「急に取り上げてどうしたんだよ」

「いやぁ〜‥‥最近の男の子は料理上手いな〜って」

「二人暮らししてたら自然と身につくものじゃないのか?」

「アカリちゃんと一緒に暮らしてんの!?」

再び驚く私。やっぱり黒炎くんのこと何も知らなかったんだな。

「あれ、朱里には話してなかったっけ?」

「うん」

同棲、同棲‥‥その単語が頭から離れない。高校生で同棲とか早くない!? てか、アカリちゃんってもしかして黒炎くんよりも年上だったり?

それって、以前言ってた「誰にも理解されない」っていってた話と関係あるのかな?

「黒炎くん、私もっとアカリちゃんのこと聞きたい!」

「おう、いいぜ! まさか朱里から聞きたいって言ってくるなんてな!」 

黒炎くんのテンションがあがった。心なしか、声もワントーン上がった気がする。

ちなみに不順な動機でアカリちゃんのこと聞いているのがかなり申し訳なくなった私は「黒炎くん、ごめん」と心の中で謝った。

それから昼休み中、アカリちゃんのことを聞かされた。アカリちゃんはどうやら私たちと同じ高校生らしい。学校名を聞く限り、他校のようだった。だけど、聞いたこともない高校に私は少しだけ違和感を覚えた。

「今日の昼休みはありがとな! スゲー楽しかった」

「ううん、こちらこそだよ」

相変わらずキラキラしてるなぁ。笑った顔はとってもカッコいい。黒炎くんはアカリちゃんの話をしてるときが一番楽しそう。

よっぽどアカリちゃんのことが好きなんだろう。それは痛いほど伝わってくる。

アカリちゃんと同棲までしてるのに、私とお昼を一緒にしてくれるのは幼馴染だから? それとも、ただの女友達? それは聞くのが怖いから、今はやめておこう。
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