第18話

文字数 998文字

「でも、明後日からGWに入るな。GW中でも午前中だけだが図書室は開放してくれるみたいだし、教えてやれるがどうする?」

「ま、毎日早起きは難しいかも‥‥」

黒炎くんからせっかくのお誘いなのに朝が弱いせいで断ってしまった。今、すごく勿体ないことをしてしまった気がする。

「休みモードに入ると起きれなくなる癖、なおってなかったんだな。小学生の夏休みの頃もそんな感じだったよな。って、GW中毎日学校来るつもりだったのか?」

「誰だって休日の時くらいゆっくり寝てたいよ。そ、それは……」

(黒炎くんに休みの日も毎日会えると思うと嬉しいよ)

なんて思っていたけど恥ずかしくて言葉には出せなかった。黒炎くんには「真面目だな」って言われたけど、それは違う。勉強はあくまでも二の次。

本当は勉強を口実にして黒炎くんに会えるのが楽しみ……って、そんな悠長に身構えていたらそれこそ赤点まっしぐらコースな気がする。

他愛もない会話をしつつ、勉強を続けた。わからないことがあれば、黒炎くんに聞くという形で。解く前から全部教えてもらっていたら、自分で勉強したって言えないしね。

「生徒会長の如月紅蓮です。下校時間になりました。部活をしている生徒、自主勉強をしている生徒さまざまな事情はありますが、全校生徒すぐに帰宅するように。それと寄り道は厳禁です。以上」

音楽が流れると思いきや、まさかの放送だけ。しかも、生徒会長自ら放送するなんて、この学校はどうなってんの。BGMが一切ないせいで、声だけで威圧感を感じさせた。

外で部活をしていた男子生徒は「やべ、早く帰らないと堅物会長から反省文が来るぞ!」と叫びながら慌てて制服に着替えようと更衣室に走っているのが見えた。

一部ではなんて噂もあったけど、男子生徒のほとんどが「堅物会長」って呼んでる気がする。反省文ってなんのことだろ。

「会長さんの放送もあったことだし、私達もそろそろ帰ろっか」

「ああ、そうだな。って、こんな遅くまで勉強してたのか、気付かなかった。朱里、途中までだけど送るぞ」

「えぇ!? い、いいの……?」

勉強会に続き、今日は帰りも一緒のようです。黒炎くんは「女子を夜道一人歩かせるのは危険だからな」と言って私のことを心配していた。が、スマホの時計を見るも19時。

黒炎くんって、もしかしなくても過保護? と心の中でツッコんだ。
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