第30話 今すぐにでも欲しい有希の体を無理に引き剝がす
文字数 452文字
床にあぐらをかいて文庫本を読んでいると、有希が近づいて来た。伸は、本を脇に置く。
そう言いながら、向かい合って膝にまたがって来る。
顔が近づいて来て、唇が重なる。されるままになっていると、やがて、唇をこじ開けて舌が入って来た。
夢中になって有希の唇や舌を味わっていると、突然、彼が体を離した。
見る間に、目に涙の粒が膨れ上がって来る。
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
有希は、うっうっと嗚咽を漏らしながら言った。
有希が覆いかぶさるようにしがみついて来る。
伸の体も反応している。今すぐにでも有希が欲しい。だが。
有希の体を、無理に引き剥がす。