第9話 伸にどんなに優しくされても悲しくてならない有希
文字数 330文字
部屋に入っても、いつものように抱きついたり、キスを求めたりしない有希に、ついに伸が言った。
伸が近づいて来て、そっと抱きしめてくれた。有希は、伸の肩口に顔をうずめる。何か言うと、泣いてしまいそうだ。
有希は、伸にしがみつきながら言った。
伸は即答したが、有希は悲しくてならない。そうじゃない。だって伸くんは、「彼」のことを……。