第20話 一生一緒にいることと有希のプロポーズと伸にプロポーズさせた過去
文字数 782文字
伸は、ぽかんとした顔で有希を見たまま、何も言わない。
ずいぶん間が空いてから、ようやく伸が言った。
そう言いながら伸は、まだぼんやりしている。
正直なところ、そこまで深く考えてはいなかったのだが、一生一緒にいたいと思っていることは間違いないから、それはやはり、男女で言うところの結婚ということになるのだろう。
だって、そういうプロポーズみたいなことはさ、伸くんから言ってほしかったのに、うっかり自分で言っちゃった
そう言えばさ、僕が記憶を失くした後で、もう一度付き合うことになったとき、伸くん僕に『四の五の言わず、一生、俺のそばにいろ』って言ったんだよ
本当は有希が、一言一句そのように言わせたのだが。
あんなに素敵な思い出を、伸が覚えていないのは寂しいが、自分が覚えていればいい。絶対に、一生忘れない。
あのときのことを思い返しているうちに、早くも体の奥が妖しく疼き始めた。