第27話:ダウ新高値と日本で新天皇の即位

文字数 1,811文字

 政府は激甚災害に指定し自治体の災害復旧事業への補助率をかさ上げした。台風は5号が8月7~8日に近畿・北陸を縦断。秋にも日本列島への上陸が相次ぎ18号が9月17~18日に九州南部と四国、近畿、北陸を縦断した。その他、21号が10月23日に東海と関東を縦断した。総務省消防庁によると、死者は5号で2人、18号で5人、21号で8人に上った。

 人質殺害事件や欧米諸国での大規模テロを引き起こして国際社会を震撼させた過激派組織「イスラム国」は2017年に滅亡した。それは、米軍主導の有志連合などの支援を受けた地元勢力の作戦によりイラクとシリアの大半で、「イスラム国」が、駆逐された。2大活動拠点だったイラク北部モスルとシリア北部ラッカも陥落し、組織としては事実上崩壊した。

 「イスラム国」は14年、イラクとシリアで急速に伸長した。指導者バグダディ容疑者はイスラム教の預言者ムハンマドの代理人「カリフ」と称し、一時は両国にまたがる広大な地域を支配する疑似国家を構築。恐怖支配体制を敷いた。異なる宗教・宗派や文化を敵視するイスラム国の過激思想は現在も拡散したままで、世界各地で共鳴者によるテロの脅威が続いている。

 中国では、5年に1度の中国共産党大会が10月に開かれた。そこで、習近平総書記「国家主席」の名の指導理念「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党規約に明記された。習氏12年の政権発足以来、反腐敗闘争での政敵打倒、言論統制での異論排除という特異な政治手法で権力を固めた。2期目を迎え「1強」を完全確立した。

 習氏は党大会政治報告で、建国百周年を迎える今世紀半ばまでに「社会主義現代化強国」になると宣言。「建国」の毛沢東、「富国」のトウ小平を意識し、「強国」路線に基づく長期戦略を示した。共産党の人事では自身の後継者となり得る若手指導者を最高指導部・政治局常務委に入れず、慣例を破って、長期政権で臨む意向を示した。

 常務委員の下の政治局員には、かつての部下らを大量登用した。安倍晋三首相の政権運営への評価が最大の争点となった第48回衆院選は10月22日に投開票され、自民党が公示前勢力に迫る284議席を獲得して大勝した。投票率は53.68%で、戦後最低だった前回に次ぐ低水準であった。

 11月1日に召集された特別国会で第98代首相に指名された安倍首相は同日夜、全閣僚を再任し第4次安倍内閣を発足させた。衆院選に先立ち小池百合子東京都知事は希望の党を結成。野党第1党だった民進党は公認候補を擁立せず希望に公認を申請する異例の方針を決めた。だが、小池氏は憲法観などの不一致がある場合「排除する」と述べ全面合流を拒否。

 枝野幸男元官房長官らは立憲民主党を結成、その他は無所属で出馬と、民進党は3分裂した。小池氏の発言が響いて希望は失速、立憲は躍進した。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均の終値は11月30日、史上初めて2万4000ドルを突破した。トランプ米政権が1月に発足した。政権の積極的な経済政策を期待した「トランプ相場」に市場は沸き立った。

そのため1月に2万ドルの乗せ1年を通じ最高値を繰り返し塗り替えた。米国や中国など主要各国の経済が軒並み好調を維持し米企業で好決算が相次いだのも追い風となった。さらに、政権が11月、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会「FRB」の次期議長に財務次官や投資ファンド共同経営者を歴任したパウエル理事を指名し株価を支えた。

 現執行部からの昇格でイエレン議長の経済政策が踏襲され低金利環境がしばらく続くとの安心感が市場に広がった。政府は12月8日の閣議で天皇陛下が退位される日を「2019年4月30日」と定めた政令を決定し13日に公布。同年5月1日に皇太子さまが新天皇に即位。即位と同日に改元も行われ平成は30年と4カ月で幕を下ろす事になる。

 天皇退位は1817年の光格天皇以来約200年ぶりで現行憲法下では、初。新元号は来年中に発表される方向だ。今年6月に成立した退位を可能にする特例法は、施行日に天皇陛下が退位し、皇太子さまが直ちに新天皇に即位すると規定。

 特例法に基づき12月1日に約25年ぶりの皇室会議を宮内庁で開いた。その席で、三権の長や皇族らの意見を聴いた。天皇・皇后両陛下の退位後の称号は「上皇」「上皇后」、秋篠宮さまは皇位継承順位第1位の「皇嗣『こうし』」となる。
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