支度の死角
文字数 410文字
「そろそろ支度しようか」
彼女に遅れて彼はパンを頬張った。
いちいちパンをちぎっているのを横目に、彼はぺろりと平らげ食器を下げる。
その足で洗面台に向かい、洗顔と歯磨き、整髪を済ませて鏡の自分に惚れ惚れとした。
入れ違いで彼女が入ってくるとリビングに戻り、財布やら車のキーを探し一服している。
洗面所でするドライヤーの音が消えると、思い出したように皿洗いをし始めた。
彼女に化粧の進行具合を何度も確認しながら、待ち時間に携帯をいじる。
彼があくびをしたところで、彼女の支度ができたようだ。
「タイムは1時間9分でフィニッシュです!」
専属アナウンサーが高らかと宣言した。
「それにしても旦那さんが一服したときにはヒヤリとしましたねぇ。」
「皿洗いでポイントを稼いだか、と思いましたがお化粧を急かしたので減点は免れませんなぁ。出掛ける前に褒めてもいませんし…」
抜き打ち支度試験地区予選。
果たして本大会出場の資格を手にできる男は現れるのだろうか。
彼女に遅れて彼はパンを頬張った。
いちいちパンをちぎっているのを横目に、彼はぺろりと平らげ食器を下げる。
その足で洗面台に向かい、洗顔と歯磨き、整髪を済ませて鏡の自分に惚れ惚れとした。
入れ違いで彼女が入ってくるとリビングに戻り、財布やら車のキーを探し一服している。
洗面所でするドライヤーの音が消えると、思い出したように皿洗いをし始めた。
彼女に化粧の進行具合を何度も確認しながら、待ち時間に携帯をいじる。
彼があくびをしたところで、彼女の支度ができたようだ。
「タイムは1時間9分でフィニッシュです!」
専属アナウンサーが高らかと宣言した。
「それにしても旦那さんが一服したときにはヒヤリとしましたねぇ。」
「皿洗いでポイントを稼いだか、と思いましたがお化粧を急かしたので減点は免れませんなぁ。出掛ける前に褒めてもいませんし…」
抜き打ち支度試験地区予選。
果たして本大会出場の資格を手にできる男は現れるのだろうか。