天井公園

文字数 380文字

公園の日没を決めるのはいつの時代も母親の役割になっていた。
そしてそれは、一度拒むべきものなのだ、と子どもたちも理解している。

さいごー!
そう言うと男の子はお気に入りのジャングルジムに登り始めた。
心配性な父親が下で見守っている。
頂上について、さあ立つぞ、と意気込むと
こっつん。
頭に何か当たった。
しゃがんだまま見上げると、今朝パンに塗ったママレードと同じ色の空が広がっている。
ねえー!なんかあるー!
足場を確かめてから、今度はそおっと膝を伸ばすが
こつん。
仕方なく手を空に伸ばすとぺたぺた、とプラスチックのまな板のようなものに触れた。
公園をきょろきょろ見回すと、父親も母親も震えながら男の子を見ている。
男の子はもう一度空を見上げてから首をかしげると、しぶしぶジャングルジムを降りた。

「立ったら危ないでしょ」と母親が優しく言うと、三人が帰るのを夕日が最後まで見送っていた。
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