体感型

文字数 700文字

言ったはずですよ。深入りしてはならぬと。何を勘違いされたのでしょう、あれが戯言とでもお思いで。折角の忠告でしたのに、まったくあなたって人は。仕方ないですね。聞いて分からぬなら、体感してください。さあ、こちらへ。


何故です、何故、私の言うことを聞けないのですか。何度もお願いしましたね。幾度となく説明しましたね。あなたも、この耳で聴きましたね。この瞳で見ていましたね。私の言葉の欠片ひとつでも記憶にございますか。(ここ)に、残っていますか。


何故です、何故、従っていただけないのですか。自分で考えなさいと注意しましたね。なのにこちらに頼りきりとは。無責任なのはこの(くち)ですか。幼稚なのはこの(こえ)ですか。大人になりきれないのは、この(こころ)ですか。


ええ、もちろん理解していますとも。全て意図的であることを、私が見通せないとでもお思いで。こんなにもわかりやすく欲しがりだなんて、可愛らしいお方ですね。そんなに気を引きたいのなら、ほら、お望み通りに。



ご要望は痛みですか屈辱ですか、それとも、快楽ですか。素直に教えてご覧なさい、どれが欲しいのか。


ああ、聞く必要もなかったですね。その湿った口元から答えが溢れていること、お気づきですか。火照った色欲に絆されていること、ご自覚はおありですか。理性のヴェールがか弱いあなたに、このフタリゴトは手懐けられないでしょう。隠し事に不向きな(くち)、駆け引きが不得手な(こころ)は封じておきましょう。今度こそ、従いなさい。忠告を軽視した罰です。


……何をおっしゃいますか。私を受け入れる他に、あなたに何ができるとお思いで。


さあ、聞き分けのない子にはトクベツなお説教を。ゼンシンゼンレイで、お伝えいたしましょう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み