カジョウでヨジョウなアイ

文字数 620文字

なあ、俺と旅行しよう。二人きりでどこか遠くへ。

行き先は、そうだなあ。あの国はどう、自由が許される国はどう。

急にどうしてって?付き合ってもないのに、だって?聞くなよ、悲しくなるだけだから。俺が。

あーあ。全部言いたい。
あーあ。特等席が空けばいいのに。

違う、あいつに負けたんじゃない。俺は運命に負けたんだ。
違う、言い訳じゃない。俺の理性と誇りは好調だ。

泣きはしない泣きたくもない泣くはずがない。
ただ、悔しいだけだ。

ああ、俺があげられるのは、過剰で余剰な愛。
ここにあるのは行き場のない愛。

欲しくなったら言ってくれ。
いつだって、包む準備だけは整っているから思う存分堪能してくれ。安心するといい、これが尽きることはない。

あいつに飽きたら言ってくれ。
永遠に、色とりどりの快楽とほんの少しの不安をあげよう。心配するな。ほら、よく言うだろう。甘さを引き出すための隠し味に塩をひとつまみ。それと同じだ。

人生の苦しみから抜け出したくなったら言ってくれ。
そんなの、影も形もなくなるほどに狂い咲こう。オトナゲなく、時間を忘れてミダレ咲こう。

言っただろう。俺があげられるのは、過剰で余剰な愛。
君が到底受け止めきれぬほどの、アツイオモイ。心の奥の奥まで潤して、頭の中身全部を喰い尽くす。

…………へえ。もしやその目は興味湧いてきた?意外と欲しがりだな。

ああ、好きなだけ持っていくといい。欲しくなったらそう言ってくれ。
ただし。カジョウでヨジョウな(アイ)に溺れる覚悟ができたなら。

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