イゾンメンタル

文字数 693文字

イゾンメンタル

【ご案内】
こちらはやや卑屈メンタルな作風になっておりますため、読者様が元気メンタルの時にご覧いただけると良いかもしれません。(補足:既に選択淘汰や門番などをお楽しみくださっている場合にはこちらも違和感なく読み進めていただけると思います。)




ねえお願い。僕を君のナカに入れて。ひとりはもう、嫌なんだ。

みんなは僕をいい人だって言うよ。優しいねって、褒めてくれるよ。でも、彼らの期待を外れたことをすると、“君はそうじゃない”と態度で示すよ。彼らにとっての僕は理想を着色した僕。なのにどうして。優しさは孤立を連れてきた。否定や搾取という友を連れ立って。

理想を見るのは容易いけれど、現実を知り発動する減点法。それはとても一方的で、究極に利己的で、そして同時にどうしようもなく人間らしい、捨てきれぬ習性。より良い明日を希求する僕らの、やんごとなき理想贔屓。

でもね、僕はもう、ひとりは嫌なんだ。

本音本質真価を全て破って君の理想を演じるから、どうかお願い、僕を君のナカに入れて。

僕らしく在ることが孤立につながるなら、もう“らしさ“なんて知らない。我慢すれば共存を得られるのでしょう。喜んでそうする。優しい僕に甘えたいの?いいよ、我慢する。その代わり、君の全部を頂戴。

君の瞳は、僕を愛でるためだけにある。

君の腕は、僕を包むためだけにある。

君の声は、僕をなだめるためだけにある。

君の思考は、僕を喜ばせるためだけにある。

君の心は、僕をイレルためだけにある。

さあ。露わにして、ココロ。全部舐めとって、ナミダ。激しく突いて壊して、コセイ。達して、イゾン。迎えよう、トモダオレ。

ねえお願い。早くシテ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み