落ちて来たその星は。

文字数 455文字

僕は星に乗って、この地に落っこちたーー……。



「それで、土星さんは地球に何しに来たの? 」

「僕? ーー僕はーー……。」

空を見上げた。

真っ暗ーー人間はそう言うけれど、深い輝く青色を黒の上に塗ったみたいな綺麗な夜空。

その夜空には端から端まで小さな星の光が。

ーーううん、端から端じゃない、ーー地球の周りをぐるっと一周、地球の外側全部に、僕達星々の瞬く輝きが点々とーー……。

僕はもう地球に落ちて、あの空の自分の星には戻れないーーかもしれない。

だけど、それで良い。

だって、ここには君が居て、君達が居て、皆んな生きていて、それがとても愛しいからーー……。

《“それじゃあ困るんだ……。”》

「えーー? 」

近くにいる君を見た。君も僕と同じ様に夜空の星を眺めていた。ーー僕に聞こえた声は聞こえていないみたいだ……。

公園はシンと静まり、ゆっくりと時が流れていた。止まっているみたいなその場所に、あの時の高校生の学生服を着た君と、今の君が重なった。君は大人になった。ーー僕はーーーー?

僕も大人になれるだろうか? この地球でならーー……。
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