宇宙の深青黒、瞬く星々。

文字数 937文字

「本当に違うの? 」

「違うーーと思う。」

「本当に?? 」

「ーー……。」

もう一度、確認した方が良いか? 

でも、あいつがまた地球に居るなんて……。

「今度はこっちが言って来るよ。あいつに言いたい事もあるしーーあいつならだけど。」

「ーーうん、頼む。」

「うん、行って来ます! 」

宇宙は静かにーー星の光が瞬いていた。太陽は反対側か、遠くにある。深い青みを帯びた真っ黒な宇宙は、故郷。

俺達はここで生まれて、ここであの星ーー地球を見守り、揺蕩っている。

刻と空間と、創造の神々。その神々と共に。

あの土星は帰って来ないーー俺は帰って来ているのに……。

「冥王星、金星の時の記憶はあるか? 」

「うん? ある部分もあるけどーー……。」

「その金星の時の記憶で、今の金星をーーー助けてやってくれ。至急だ。」

ーー人間は星を発見し、名前を付ける。付けるけれど、見間違えたり、時を経て別の星の名前になったり、隠されたりーー色々変わる。

俺も変わった一つ。

「ーー土星は、あの星はよっぽどあの地球が気に入ったみたいだな……。昔のお前を見ている様だ。」

「前の太陽みたいに、あの星と心中しないと良いけど。」

「心中ーーそうだな。」

「…………。」

「また巨星爆発でも? 」

「あの地球がーー? 」

「爆発する?? 」

「あはは、まさか。」

星々、神々までもが押し黙った。

シンーーと静かだ。あの夜みたいに……。

あの夜、土星は地球からこっちをーー宇宙を見上げて、人間と共に眺めて、それから消えた。

地球と一緒に居なくなった。

地球の大気になったとも、太樹になったとも言われている。宇宙の都市伝説だ。馬鹿馬鹿しいーー訳でもない。実際あいつは、大気になり、太樹になりーーそしてーー……。

今は、きっと人間(ヒト)になっている……。

「双子の君なら、見つけ出せるんじゃない? 」

「だから、見つからなかったんだってば! 」

「え〜〜〜? 本気出した? 」

「本気じゃなかったのなら、もう一度、行って来て下さい。」

「あ、来ますか? ーーあんまりちょっかい掛けないで貰いたいーー、ですけどまぁ、貴方なら。」

地球が嫌がった。無理はない。一度はそれで巨星爆発だ。トラウマだろう……。

深い、深い、青黒の中、また地球が戻るまでを退屈に過ごしたのも、俺達にとってはトラウマだった。
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